ここに来てドイツの新型コロナ感染者は大幅に下がり始めており、長いトンネルの出口が見えてきた。これはもちろん、暖かくなってウィルスの活動が低下したのもあるかもしれないが、やはりワクチン接種が軌道に乗り始めたのに加えて、徹底的なテストを行っている事が大きいと思われる。これだけ市中で皆がテストをしている中で、数値が減ってきているのは明らかに良い材料だろう。
そしてここに来て、ドイツ政府はこれまで議論されてきたワクチン接種終了者に対する規制緩和を決定した。現行のルールでは、多くの外出に関して24時間以内に受けたテストでの陰性証明が義務付けられているが、ワクチン接種終了者に関してはこれが必要なくなる。
他にも外出制限が適用されなくなり、更には感染者との濃厚接触があった場合でも強制的に隔離する必要はなくなる。但しこれはウィルスが最近インドで流行っているような厄介な変異種だった場合は適用されない。細かいルールは州によって違いがあるが、基本的に早くも明日から適用になる。
そしてこのワクチン接種の完了を証明する為に導入されるのが、イエローカードのデジタル版である。これはこれまで利用されている紙の様式を補完し、旅行などの際に手軽に証明可能かつ偽装困難なものとして夏までに導入される見通しである。
ワクチン接種は現在ドイツ人口の10%強が終了しているが、既に30%以上は一回目の接種を終了している。およそ1週間前が25%だった事を考えるとその接種スピードは明らかに上がっており、5月中には多くの人が再び自由を満喫できるようになる。もちろん、店などが開いていない事には意味はないが、これも7日間平均の感染者が各地で軒並み下がっている事から、来週からは多くの経済及びレジャー活動が解禁になる模様である。
尚、ワクチン接種終了者と同様に自由を取り戻せるのが、コロナに一度感染し回復して者である。これを証明するためには過去28日から半年間で受けたPCRテストでの陽性結果が必要になる。最近市中で行われている抗原検査や自宅でのセルフ検査キットはもちろん証明にはならない。要するに一度コロナに感染すれば少なくとも半年間は免疫が有効になると言う事だろう。
但しこれらの該当者にも全ての自由が取り戻せる訳ではない。例えばマスクは指定された必要な場所で引き続き装着しなければならないし、病院や老人ホームへの訪問も引き続き制限される。まあマスクに関して事実上チェック不可能なので止むを得ないと思われる。繰り返しになるが、ルールは州によって違いがあるので、よくよく確認されたい。
もともと、このワクチン接種終了者やコロナ回復者に関してのみ規制を緩和するのは特権或いは差別であるとして、否定的な見解も多かった。しかし、これは現状がそもそも法で定められた自由が制限されている状況なので、上記の者に関してはこれを本来の状態に回復させると言う解釈で可能になった。
まあ私自身は上記の何れにも該当しないが、他人に移さないのであれば自由に外に出てもらって結構である。言うまでもなく、経済的にもその方がメリットがあるし、国民のコロナ疲れはもはや限界に達している。もちろん、今後何らかの事情で再びワクチン接種が再び遅れるような事があれば、社会を分断する大きな問題になる可能性はある。
しかし、ここに来てこのような決定を下したと言う事は、ワクチン接種の目処が既にかなり立っている事を窺わせる。おそらく、5月は大幅な緩和の月となる可能性が高く、レストランなどまで開けば、外はおそらく外出者でごった返しになる。それはそれで大変だが、取り敢えずドイツに関して言えば事態は明るい方向へ向かっていると言う印象だ。