今週の水曜日にドイツ代表がアルゼンチン代表とテストマッチを行なったので、その感想を記しておきたい。アルゼンチン代表は言うまでもなく世界屈指の強豪だが、今回はメッシも居ない。ドイツも多くの選手が風邪や怪我などで欠場しており、テスト色の濃い試合となった。FWのヴァルトシュミットとDFのコッホはこの試合がデビュー戦となる。簡単に試合を振り返る。
前半は完全なドイツのペースで試合は進む。まずは15分に右サイド深くに侵入したクロースターマンのクロスをニャブリが混戦の中冷静にゴールへ流し込みドイツが先制する。更に22分にはカウンターから右サイドを突破したニャブリが完璧なタイミングで中央にラストパスを出し、これをハーヴァーツが難なく決めた。30分にはハルステンベルクのフリーキックがバーを直撃するなど、一方的な展開になりつつある。
アルゼンチンは直後にデパウルが正面からポストに当たる強烈なミドルシュートを放つが、これが唯一の見せ場だった。ドイツの速いパス回しとスピードに完全に後手に回っていおり、このままドイツが2点リードで後半を迎えた。
後半ドイツはややペースを落とし、アルゼンチンがボールキープする時間が長くなったが、ドイツのゴールを脅かすまでには至らない。逆にドイツは55分、カウンターからこの日3バックの一角に入ったチャンがGKと1対1になるチャンスを得る。これは惜しくも得点ならず。
アルゼンチンは62分にこの日精彩を欠いたFWディバラに変えてアラリオを投入し、状況の打開を図る。すると、これがいきなり功を奏す。アルゼンチン左サイドからのクロスをこの日デビューとなった新入りのコッホがポジショニングを誤り頭上を越され、これをアラリオが頭で決めて1点を返す。
ここからドイツは急にドタバタし始め、アルゼンチンが危険な位置に侵入するシーンが急増した。83分ドイツは中盤を安定させるべくルディをハーヴァーツに代えて投入し逃げ切りを図る。しかし、85分ビルドアップでボールロストしたドイツは守備組織を立て直せずゴール正面からオカンポスに同点ゴールを決められた。
こうなると押せ押せのアルゼンチンが残り時間で逆転ゴールを決めるかに見えたが、ドイツは何とか引き分けで切り抜けた。
ドイツは前半60分までは良い試合をしたが、ここからはミスを連発し尻すぼみの内容となった。テストマッチともあって、比較的多くの若手選手を起用した所為もあるだろう。しかし、昨年以降の傾向から言っても試合の締め方に問題を抱えているのは明らかだ。特に疲れの見える後半に中盤でのボールロストが多く、更に元々の守備力の低さも手伝って立て続けに失点するパターンが増えている。
おそらく、これを踏まえてある程度ボールをキープし、落ち着いた試合運びをしようという意図は見える。しかし、この試合も最終的にはボール支配率は45%で、特に終盤はボールを追いかける時間が長かった。現在の3バックのシステムにして以降、前半は良くとも強豪国相手には後半に逆転される試合が多い。
前回のW杯では極端なポゼッション志向が仇となり失敗した。縦への速さを重視した新たなスタイルも徐々に出来上がりつつあるが、本戦で強豪国相手に勝利するためには、チームとしてクレバーなボールキープに加え、やはり選手個々の能力も含めた守備力の強化が不可欠だろう。