ミュラー、フンメルスが復帰したドイツ、デンマークと引き分ける

いよいよ一週間後に迫ったEURO2021開幕に向けて、昨日ドイツはキャンプ地であるオーストリアでデンマークとテストマッチを行った。ここでまず最も注目されたのが、ヨアヒム・レーヴがどのようなメンバー、システムでこの試合に臨むかだ。

レーヴは様々なシステムで試行錯誤を重ねた上、最近の試合では4-2-3-1或いは4-3-3を主に用いてきた。しかし、3月のW杯予選では完全なアンダードッグの北マケドニアに敗戦するなど安定さに欠ける。更にミュラー、フンメルスが復帰した事でその布陣は全く読めないものになった。いずれにしても、この試合で用いるシステムが、かなり高い確率で初戦のフランス戦に採用される。

そして、蓋を開ければ復帰後いきなりミュラーとフンメルスがスタメンに復帰し、更に暫く封印していた3バックを再び用いてきた。但しフンメルスは予想された中央ではなく、左のストッパーの位置に入った。中央はズューレである。私の予想では本戦ではおそらくリューディガーが入る。ミュラーは前線でニャブリ、サネと共にFCバイエルン・トリオを形成した。

試合は非常に落ち着いた展開ながら時間を追うごとにドイツ優勢が鮮明になってくる。とりわけ、懸案である守備が非常に安定しており、全くと言って良いほどデンマークにチャンスを許さない。前半は両チーム無得点で終了したが、ドイツはニャブリのバーに当たるシュートなど幾つかのチャンスを生み出した。

後半に入ってもドイツが序盤からペースを握り、48分左サイドのゴーセンスのクロスが中央で溢れたところをノイハウスが押し込みドイツが先制する。試合展開から言えば妥当な先制点だ。

しかし、60分あたりからドイツは運動量が落ち、更にパスミスが増えて試合のコントロールを失いつつある。そして72分、デンマークは中央エリクセンのスルーパスからポウルセンが落ち着いてノイアーの壁を破り同点に追いつく。ドイツはこの一本のパスでズューレが置き去りにされ、更にフンメルスもポウルセンに追いつけなかった。結局試合はこのまま同点で終了した。

ドイツは前半こそ安定感のある守備で安心して見ていられたが、後半にほぼ唯一と言って良いデンマークのチャンスをまんまと得点に結びつけられた。この稚拙な試合運びに関しては残念ながらここ数年進歩が見られない。復帰したフンメルスの落ち着き、キックの巧さはDFとしては別格だが、失点の場面では懸念されたスピード不足が仇となった。

攻撃面に関しては3バックにして攻撃の選手を削った事を考えればまずまずの出来だったと思っている。最大の問題は決定力だが、これは運もあるのでそれ程心配していない。敢えて言うならサネはFWとは言え守備力が余りにも低いので、スタメンはハーヴァーツの方が良いのではと思っている。

中盤に関しては昨日はノイハウスが良い仕事をし、本戦で使える目処が立ったのは収穫と言える。但しこの位置はあくまでもゴレツカのスタメンが濃厚で、あくまでも控えとしてだ。他にもギュンドアン、クロースと言う名手が控えている。これらの世界屈指の名手をベンチに置いておくのは惜しいが、取り敢えずフランス戦では3バックで守備の安定を優先させるだろう。

ドイツはまだ月曜日にラトビアとのテストマッチを控えており、ここで最後の調整をする。前回ロシアW杯ではテストマッチからグダグダで本戦も惨敗しただけに、ファンとして今回は快勝で本戦に乗り込んで欲しい所である。