ドイツ、W杯初戦で日本に悪夢の逆転負けを喫する

昨日は仕事中ながらW杯グループリーグ初戦、ドイツ対日本を観戦した。日本にとっては歴史的な勝利であると同時に、ドイツにとっては試合内容から言っても悪夢のような敗戦となった。ドイツは前回ロシアW杯に続くグループリーグ初戦の敗戦に、もはや終戦ムードが漂っていると言っても過言ではない。

前半だけ見たならば、おそらく多くの人が日本が勝利するとは思わなかっただろう。ドイツはそれだけ圧倒的に試合を支配した。

序盤こそ一進一退の攻防が見られたが、日本はドイツの圧倒的なボール支配に後手後手に回り、疲れが蓄積したように見える。おそらく、前半は日本も守備から入り耐える戦略だったのではないか。にしても、7割以上もボールを支配されて相手選手の尻を追いかけ続ければ、あっという間にガス欠になる。

ロスタイムにハーヴァーツの得点がオフサイドで取り消しになり、ほっと胸を撫で下ろした。あれが得点になっていれば、かなり日本に大きなダメージになっただろう。それどころか、大差でドイツが勝っていた可能性がある。

後半日本は選手交代で3バックにシステムを変更して若干盛り返したが、それでも試合の趨勢をひっくり返す程のインパクトは無かったように思う。総じて見れば依然として試合の主導権を握っているのはドイツである。後半開始直後にニャブリがポストに当てるシュートを放ち、ムジアラも個人技から大きなチャンスを得た。

ただ丁度ドイツの選手にも疲れが出た頃を見計らって、日本はスピードのある2人の選手を投入してきた事でかなり趨勢が変わったように思う。ドイツはたしかその直後にギュンドアンがポストに当て、更に波状攻撃から立て続けにチャンスを得たが、決め切れなかったのが痛かった。

このようにシュートの雨あられを浴びせながら結局得点できず、集中力が切れたところで失点するのはここ数年のドイツ代表ではお約束だ。案の定同点に追いつかれたのち、考えられないようなお粗末な守備から逆転ゴールを許した。正直これはあり得ないレベルで、試合後のインタビューでギュンドアンはこの守備に不満をぶち撒けた。

また、選手交代で活路を見出した日本に対し、ドイツの選手交代は完全なハズレで、特にギュンドアン、ムジアラを外してくれたのは日本を大きく助けたのではないか。最後ドイツの攻撃は完全な放り込み戦術になったが、そもそもドイツは放り込み戦術に適した選手がいない。終盤にドイツが同点に追いつく雰囲気は微塵も感じられなかった。

もちろん、ドイツには試合を決定づける程の十分なチャンスがあり、これらを決めていればおそらく大差で勝っていただろう。しかし、それは負け犬の遠吠えにすぎない。それどころか、日本の選手交代や戦術は、間違いなくこのドイツの決定力不足、終盤の集中切れの傾向を把握して練られたものだ。

しかし、このサッカー大国ドイツの弱体化には目を覆うばかりのものがある。もしもシュヴァインシュタイガーやバラックがいたならば、このような試合でむざむざと逆転を許す事などなかっただろう。技術があり、巧い選手が増えた一方、チームの為に死に物狂いでゴールを決め、相手を防ぐ選手はもはや皆無である。サッカーというより、教育の問題だ。

同組のスペインが7-0でコスタリカに勝った事で、ドイツのグループリーグ突破の可能性はますます厳しくなった。力関係で言えばコスタリカが草刈り場になり、2勝1敗で3チームが並ぶ可能性が十分あり、その場合は得失点差でグループリーグの突破が決まる。7点差をつけたスペインはここで圧倒的に優位に立った。

もはやドイツのグループリーグ突破は極めて厳しい状況で、日本と共に決勝Tに進出するにはドイツがスペインとコスタリカに勝利し、かつ日本がスペインと引き分けコスタリカに勝利すると言うシナリオに期待するしかない。日本がドイツ相手に勝利したのは嬉しいが、それはそれで結構悩ましい状況になっている。