手頃な価格でスキーを楽しめるリゾート地、リプノ(チェコ)

ドイツの冬は暗く長い。冬はどうしても家に閉じこもる時間が長くなる。そう言う訳で数年前に、せっかく住んでいるのなら冬のレジャーとして楽しめそうなスキーを学ぼうという話になった。

家族皆スキーの経験はほぼ全く無いので、どこかのスキーレッスンにひとまず申し込み、教えて貰わなければならない。アルプスに近いミュンヘンから少し南に行けばスキー場やスキー学校は山ほどある。

しかし、敢えて私が選んだのはチェコのリゾート地、リプノのスキー場およびスキー学校である。これまでこのリプノには2度ほど訪問したので、参考までに記録に残しておきたい。私は非常に満足だった。

まず、リプノの場所であるが、チェコの西部ボヘミア地方の最南端、オーストリアとの国境近くに位置している。非常に大きな湖であるリプノ貯水池の麓にあり、如何にもリゾート地として開発された感のある場所だ。ミュンヘンからはパッサウ経由で車でおよそ3時間強、更に北へ40分ほど走れば観光地として有名なチェスキー・クルムロフがある。

私がなぜドイツに居ながらわざわざチェコのスキー場を選んだかと言えば、まずはその価格の安さである。ざっと見た限り、ドイツ、オーストリア或いは南チロル地方のスキー場で数日宿泊し、スキーレッスンを受ければ、あっという間に日本に一時帰国する時と同じくらいの金がかかる。そんな経済力は私には無い。

もっとも、同程度に安い地域はドイツ国内にもある。バイエルン東部、パッサウの近くにグローサー・アルバーという山があり、そこに国内で家族向けに定番のスキー場がある。多くの人は寧ろこちらに行くのではないか。私もこちらの方が移動距離自体は短くて済む。

私がそれでも敢えてチェコのリプノを選んだ理由は、レッスン及びスキー装備のレンタルがオンラインでブッキング可能であり、初心者と子供向けのコースが充実していた事に加え、チェコの方がドイツよりも人混みを避けられると予想される事。更に私は基本休みの時は可能な限りドイツを出て、違う生活環境でリフレッシュしたいと考えているという理由があった。

また、リプノは街自体がスキーリゾート地そのものであり、スキーのレッスンやレンタルもウェブサイトで一括で管理されている。つまり、スキー場に小さな個人業者が乱立している訳ではないので、ブッキングも比較的シンプルで分かり易かった。スキーレッスンはグループレッスンに加え、家族レッスン、個人レッスンがある。オンラインでブッキングすれば15%引き、私らは個人レッスンを受けた。

全くのど素人だったので、まずは歩く練習を散々するのかと思いきや、それも程々に直ぐに滑る練習に移った。滑りながらブレーキの練習から始まり、それをマスターすればスラロームの練習となる。手取り足取り明るく親切に教えてもらい、思ったより早く自分で滑れるようになった。

レッスンの言語はどのコーチに当るかによるが、殆どの場合チェコ語か英語、或いはドイツ語になる。私らは主に英語だったが、さほど複雑なコミュニケーションではないので、十分理解できる範疇だった。

また、リプノには初心者用のFox Parkと呼ばれるスキー線用の無料練習場が開放してあり、多くの子供がここで練習している。丘の上にはベルトコンベアで登れる。もちろん、リフトにも乗って山の上にも登れるが、凸凹が少なく傾斜も緩やかである。あくまでも初心者及び家族向けに適したスキー場である。

近くには多くの自炊用アパートが旅行者用に貸し出されている一方、ホテルは意外と少ない印象だった。レストランもスキー場の近くには十分ある。食事は当然チェコだけあって肉類が中心でドイツと大差無い。もっとも、価格は相当安く、私の感覚から言えば、3〜4割くらいはドイツより安かった。リゾート地でこれだけ安ければ、チェコの普通の街ではもっと安いと思われる。

因みに夏場はサイクリングやアスレチックなどの別のレジャーパークが開放されている模様だ。夏にはまだ訪れた事はないが、これだけ価格が安ければ行ってみる価値はある。

もしもグルメまで堪能したければ物足りないが、小さな子供連れでスキーを手頃な価格で楽しみたいならこれで十分と言ったところだ。繁忙期でなければ人混みもそれほど無く、移動中の渋滞にも巻き込まれる事はない。

リプノはおそらく日本では知られていないだろうが、ドイツ、オーストリアからのアクセスも良く、初心者や家族連れが手頃な価格でスキーを楽しめる場所として挙げておきたい。