ルフトハンザ、時間短縮の為に“Wilma“方式の搭乗を11月より採用する予定

飛行機の利用は何かと手間がかかる。最近はオンラインチェックインで多少は手間が省けるようになったが、寧ろセキュリティチェックは以前にも増して長蛇の列だ。やっと搭乗にこぎ着けても、狭い機内は乗客でごった返しており、なかなか自分の席にも落ち着けない。多分ビジネスクラスならそんな事はないだろうが、私を含めた多くの人はエコノミークラスで我慢しているはずだ。

しかし、この煩わしく長い搭乗時間を短縮すべく、ルフトハンザは今年11月より、”Wilma”方式の搭乗を採用すると言われている。”Wilma”とは”Window”(窓)、”Middle”(中)、”Aisle”(通路)の略で、文字通り、窓側→真ん中→通路側と言う順番で乗客が搭乗し、席に着くというルールである。子連れ客やグループ、ビジネスクラスの乗客は例外扱いとなる。

現在多くの航空会社が採用しているのは、後ろの席の乗客から順に搭乗するという方式だが、実はこれが最も時間がかかる事は既に知られている。確かに後ろから搭乗しても、窓側の乗客が後から来た場合、先に行った通路側および真ん中の席の乗客は一度通路に出て窓側の乗客に席を譲る必要がある。それが狭い場所で一度に発生すれば、一列しかない通路が渋滞するのは明らかである。

調べによるとこの従来型の搭乗方法よりも”Wilma”方式は最大35%も時間を短縮できるらしい。低価格化が進み競争の激しい航空業界だ。金、労力、時間、削られるものは全て削る必要があるだろう。この世知辛い世の中、皆がどれだけ短時間で利益を上げられるか血眼になっている。

それにも関わらず、この”Wilma”方式が多くの航空会社で長い間採用されなかったのは、優先搭乗権の特典販売で金を稼げなくなってしまうからだと言われている。私はそもそも優先搭乗にさほどのメリットがあるとは思えないが、航空会社は優先搭乗権のあるチケットを高額で販売することで結構な儲けがあるのかもしれない。もしも”Wilma”方式などで搭乗時間が大幅に短縮されれば優先搭乗権のメリットは著しく低下するので、この特典の販売で金を稼ぐという利益構造が破綻するという事なのだろう。

つまり、ルフトハンザも優先搭乗権の販売で金を稼ぐよりも、時間の短縮を優先したという事なのかもしれない。確かにここ最近は飛行機の遅延も問題になっており、ルフトハンザ・グループのスイスエアーも”Wilma”方式の搭乗を検討しているとの事だ。そのスイスエアーによると、時間を1分でも短縮する事が重要で、とりわけ定時運航率のランキングには遅延を15分以内に抑える事が決定的なのだそうだ。

因みに、この”Wilma”方式よりも全ての席を自由席にした方が更に速く全員が席に着けるらしいが、これは一般的に乗客から不評との事だ。また、更に理論上速いパターンとして挙げられているのが、まず片方の窓側の席を先に座らせてから、もう片方の窓側の席を次に座らせるという順序で搭乗する方法である。しかしこれは、乗客側に完璧な統率が要求される為、実践は不可能だ。

個人的には、そもそもメリットがあるかどうか不明な優先搭乗権で金を稼ぐよりも、一分一秒でも速く搭乗を終え、遅延の確率を低下させるというのが健全なサービスだと言える。また、以前アルディについての記事で述べた事があるが、ドイツ人は短時間で効率よく利益を出すシステムを構築することにかけては天才的だ。おそらく、ルフトハンザもその例には漏れない。あらゆる事に時間や手間暇かける事を惜しまない日本人からすれば、あり得ないくらいのシビアさで合理性を追求するだろう。