新型コロナ対策で評価が高まるバイエルン州首相、マルクス・ゼーダー

既に紹介したように、新型コロナ対策としてドイツ連邦政府は国民に原則的に他者との接触を禁止、具体的には対人距離を少なくとも1,5メートル以上する事などを義務付けている。

しかし、バイエルン州に関しては更に厳しいルールがそれよりも早く設定されている。例えば、適切な理由なしに外出する事や、家族以外と会う事は一切禁止されている点だ(連邦政府は3人以上の会合は禁止)。総じて言えばバイエルン州はドイツ全土でも最も厳しい新型コロナ対策を州民に課している。

そして、このドイツで最も強硬な措置を率先して取ったリーダーこそ、バイエルン州首相であり、現在CSU党首であるマルクス・ゼーダーである。最近の調査では、同じく評価を上げているメルケルに次いで現在ドイツで2番目に人気のある政治家となった。

現在53歳ニュルンベルク出身のゼーダーは先に挙げた強硬な措置を連想させる、いかにも強面な風貌が印象に残る。実際にゼーダーは真面目さや規律と言った伝統的なドイツの価値観をかなり重視する保守的な政治家として知られている。他にも、官公庁にキリスト教の十字架を掛ける政令や、バイエルン語を学校の授業へ取り入れるべきとの主張で話題になった。

また、外国人に対してはドイツ的な価値観の受け入れを要求する発言が多い。一方でゼーダーは同時にドイツに適応する意思のある外国人は受け入れ、評価するべきだと積極的に発言している。この点、単に外国人を見下しているだけのAfD、或いはAfDを意識しすぎたポピュリスト的な発言で自滅した前任者ホルスト・ゼーホーファーとは全く異なる印象を抱かせる。

ゼーダーはCSUのライバルとして明らかにGrüneを意識しており、寧ろCo2排出量削減などの環境政策に重点を置いている。経済においても、昨年に人工知能とデジタル化のために4年間で20億ユーロを投資する事を発表した。これはゼーダー曰くバイエルン州20年間で最大のプログラムで、先端技術の導入にも余念がない。

このゼーダーの仕事は2018年のバイエルン州首相に就任以降国民、メディア、党内でも非常に高く評価されており、ドイツの次期首相候補にまで名前が挙がる程になった。そしてこの新型コロナ危機、ゼーダーは先に挙げたように他州に先駆けて断固とした措置に踏切り注目を浴びた。

もっとも、この措置に関しては他州と足並みを揃えておらず、ノルトライン・ヴェストファーレン州首相であり、次期CDU党首有力候補のラシェットから痛烈な非難を浴びた模様だ。しかし、これも現状を見れば、バイエルンがいち早く強硬措置を採った事で他州がそれに追随しているとも言える。ゼーダーが先陣を切らなければ、ドイツの状況は現在より悪いものになっていた可能性が高いのではないか。

いずれにしても、マルクス・ゼーダーは現在誰も経験した事の無い、未曾有の国難において国民が期待する断固とした強いリーダー像を体現している事は間違いない。多くの国民がここに来て、ゼーダーがドイツの次期首相へ相応しいと感じているのは必然だと言えるだろう。

もちろん、現状は新型コロナ危機を切り抜ける事が誰にとっても先決であり、ゼーダー自身もそのような話に一切巻き込まれたくは無い筈だ。しかし、今後バイエルンのみならず、ドイツの政治で重要な役割を果たす人物になる事は間違いない。

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