ミュラー、フンメルス、ボアテング、EURO2021ドイツ代表復帰なるか

ブンデスリーガは例によって今年もFCバイエルンの優勝が決定し、そうこうするうちに6月に開幕するEURO2021まで1ヶ月を切った。今月になって新型コロナの状況も劇的に改善しつつあり、徐々に盛り上がりも出てくるであろう。まず注目されるのは5月19日に行われる代表メンバー発表だ。そしてここで最大の焦点となるのが、監督であるヨアヒム・レーヴが代表を一度お払い箱とした3人のベテラン、ミュラー、フンメルス、ボアテングを復帰させるかと言う点である。

この3人と袂を分かち断固として世代交代を進めたかったドイツ代表だが、昨年の11月にスペインに0-6という惨敗を喫した事でレーヴはこの3人の戦力外を撤回する事を余儀なくされた。更には先のカタールW杯予選で格下北マケドニアに敗れるという失態を犯し、改めて安定感と実績のあるベテランの存在が貴重である事が再確認されたと言っても過言ではない。

特に今大会に関しては新型コロナの影響で登録可能なメンバーが急遽23名から26名増やされており、この3人が代表に復帰する可能性は十分にある。

そして、このうち少なくともFCバイエルンのトーマス・ミュラーの代表復帰は既に確実視されており、既にレーヴから本人に電話があった事が報じられている。そして私から言わせれば今回このミュラーを呼ばない手はない。ミュラーを呼ぶ最大のメリットは、中盤から前線までキミッヒ、ゴレツカ、サネ、ニャブリと共にほぼ完全なFCバイエルン・ブロックを形成出来る点だろう。

言うまでもなく、今回は新型コロナの影響もあり例年の大会よりも圧倒的に準備が不足している為、いつも以上に出来るだけ同じチームからメンバーを送り出した方が連携面で多大なメリットがある。特にミュラーはこのバイエルンの前線でも司令塔として中心的な役割を担っており、ドイツ代表でも大きく貢献出来る。

私の予想ではミュラーはいきなりスタメンに復帰しトップ下に入り、おそらくこれまでトップ下だったハーヴァーツがワントップの位置に起用される。何れにしても、ミュラーの復帰で得られるメリットは大きい。

そしてミュラー程ではないが、ドルトムントのマッツ・フンメルスの代表復帰もかなり有力視されている。フンメルスを呼ぶメリットはヘディングの強さに加え、DFとしては傑出したパスセンス、ビルドアップ能力を備えている点だろう。特にドイツは攻守におけるセットプレーの対応に難を抱えている為、フンメルスはこの点で大きく貢献出来るのではないか。

但し問題はフンメルスには肝心のスピードが不足しており、これは年齢を経るにつれて顕著になっている印象がある。故にカウンターで攻め込まれる危険が高い4バックで起用するにはかなりの不安がある。使うなら3バックの中心で、両脇を屈強なストッパーで固める必要があるのではないか。このオプションは強力な個人能力を擁するであろうフランス或いは、ポルトガル相手には十分考えられる。

最後にFCバイエルンのDFボアテングあるが、こちらも今シーズンは予想に反して多くの試合でスタメン起用された実績がある。但しボアテングの場合、リューディガー、ズューレ、ギンター、チャンと言った屈強なストッパータイプとプレースタイルが被る為、実力の割にはチームにもたらすメリットはやや少ない。呼ぶとすればおそらくバックアップ要因になるが、わざわざその為に一度戦力外にした選手を呼び戻す必要があるのかは疑問符がつく。ムードメーカーと言うタイプでもない。

総じて言えば、ミュラーは当確、フンメルスは濃厚、ボアテングは微妙、と言ったところが私の予想である。まあメンバーだけ見ればドイツは決して悪くはない。寧ろ守備陣を除けば充実している。前回のロシアW杯ではメンバー選考も完全に裏目に出て失敗したが、やはり今回も監督のレーヴが変な策を弄して自滅しない事が肝要になるだろう。