先週までは比較的暖かい日が続いていたミュンヘンは今週から一気に気温が下がり、昨日の最高気温は12度だった。例年ならオクトーバーフェストで市内は観光客や民族衣装を着た地元民ででごった返すところだが、今年は知っての通り新型コロナにより祭りは中止になった。代わりに、地元のレストランでオクトーバーフェストの雰囲気が楽しめる代替イベントが行われている。
そして、肝心の新型コロナの状況であるが、予想通り、気温が下がるにつれて感染者が再び増加しつつあり、日によっては国全体での1日の感染者数が2000人を超える場合も出てきている。夏のバカンスシーズンは1000人を超えるかどうかで第二波云々など言っていたが、本当の山場はここから来る事は間違いない。そのドイツの中で現在最もコロナが蔓延している地域の一つが私の住むミュンヘンである。
現在のドイツでは7日平均で人口10万人あたりの新規感染者数が50人を超えた場合、その自治体は何らかの厳しい対策を講じるというルールとなっているのだが、ミュンヘンは早くも先週にこの域値を超えた。この為、今週の木曜日から新たな厳しいルールが適用となっているので、主なものを紹介しておく。
まず、10月1日まで旧市街の歩行者天国、マリエン広場周辺の地域は外であってもマスクの着用が義務化される。これを怠って警察に見つかった場合、250ユーロの罰金が課される。但し6歳までの子供や、障害などが理由でマスクの着用が不可能な者は例外として免除される。
レストランではこちらも10月1日まで家族や親戚、同居者のみグループで席を取るか、そうでなければ最大5人まで同じ席を取る事が許可される。結婚式や葬儀、誕生日会などのイベントは然るべき感染対策防止策をとった上で屋内なら25人、屋外なら最大50人までの参加が許可される。更に市内一部の指定された広場では今週末、アルコール飲料の販売と摂取が禁止される。
また、先に上げた7日平均で人口10万人あたり50人の新規感染者を出している自治体の旅行者は他州で宿泊禁止になる。つまり、先週の時点でこの数値を越えているミュンヘン市民は他の多くの州で泊まることができない。これは州によってルールが異なるが、少なくとも私が知っている限り、隣の州であるバーデン・ヴュルテンブルク州はそうなっている。それどころか、北のメクレンブルク・フォアポンメルン州は州に入る事自体を禁止しているので注意が必要である。これを逃れるためには、テストを受けて陰性を証明する事だ。
ミュンヘン市内では幼稚園での保育もこの50/10万人の数値を上回れば、親が医療関係などの社会システム上重要な職に就いている場合を除いて、基本的に通園が出来なくなる可能性がある。つまり、最悪何も知らずに通園していきなり「今日はダメ」などと断られる可能性があるので、数値を良くチェックしておく必要がある。
現在ではミュンヘンの数値も再び50/10万人を下回るようになっているので、今後の数値次第では再び緩和される可能性はある。何れにしても、2度目のロックダウンは無いという前提で、今後は比較的頻繁にルールが変わる可能性があることも念頭に置いておく必要がある。ただ、この数値次第でいちいち頻繁にルールを変えていたら誰もついてこれなくなるので、ある程度の猶予をもってルールを設定すると思われる。
ただ、9月の時点でこのような状況だとは、本当に先が思いやられると言っておく。これから寒くなるにつれて、まだ感染者、そして重傷者は増える事は間違いない。確かにドイツ全体で見れば、現在のところは他の隣国よりはマシな状況かもしれない。しかし、政府のアドバイザーであるウィルス学者、クリスティアン・ドロステンが言うには、これまでドイツは隣国に比べて優れた対策をしたわけではなく、単に早めに手を打っただけと述べている。