ドイツ、ゴレツカの活躍でウクライナに勝利する

土曜日にネーションズリーグ、ドイツvsウクライナが行われたので感想を記しておきたい。この試合は金曜日に数名のウクライナの選手が新型コロナ陽性と判定され、中止の可能性のある試合だったが、その他全員に陰性が確認されたとして、直前に開催することが決定された。この判断が正しいかどうかは微妙だが、やるからにはスポーツに集中したいところだ。

ドイツは水曜日のテストマッチ、チェコ戦では大量の若手を投入したが、この試合は公式戦と言う事で可能な限りの強力なメンバーを送りだしたいところである。しかし、クロースは累積警告、ハーヴァーツはコロナ感染、更にキミッヒ、ハルステンベルク、クロースターマンは負傷で出場できない。

ここでレーヴは手薄になった中盤の底に本来センターバックの若手コッホを起用する4-3-3システムという新手を繰り出してきた。更に左サイドはチェコ戦でデビューしたマックス、右も本来センターバックのギンターを起用した。

試合は開始早々からドイツが攻め込みチャンスを創出するが、逆に11分中盤の甘いチェックから強引に中央をこじ開けられ先制点を許す。相変わらず締まりのない守備にため息が漏れる。この後ウクライナはガッチリと守備を固めてドイツにチャンスを許さない。ドイツの攻めは焦りからか極めて単調に見える。

しかし23分、自陣バイタルエリアでボールを奪ったゴレツカはそのままドリブルを開始、絶妙のタイミングで前方を走るサネにパスを送る。これを受けたサネはトップスピードから急角度で中央へ切り返しゴール左隅へ流し込んだ。何という緩急と技術だろうか、あれは止められまい。

更に33分、ドイツはコッホがペナルティエリア右深くへ走り込んだゴレツカに絶妙の浮き球のパスを送る。これをゴレツカはジャンプしながら見事なトラップを見せ、間髪入れずに中央に折り返し、これをヴェルナーがゴール至近距離から押し込んだ。ゴレツカのトラップはかなりの難易度の高いプレー、見事という他ない。これでドイツは逆転に成功した。

後半に入るとドイツは試合をコントロールすべくやや静かな展開になった。それでも64分、ドイツは右サイドギンターの低いボールをヴェルナーがゴール正面から決めてリードを2点に広げる。ウクライナも諦める事なく果敢に攻め、後半だけで3本のシュートをポストに当てた。しかし、試合はこのままドイツが2点差を守り切り3-1で勝利した。

早い時間帯に先制点を許して暗雲が漂った試合だったが、終わってみればここ最近で最も攻守のバランスのとれた無難な試合だったと言えるだろう。後半ウクライナにポストに当てられたシュートも守備陣が崩されたものではなく、ミドルシュートの方向が変わるなど偶然要素の強いものでそれ程不安視するには当たらない。

この日のドイツの殊勲者はセントラルMFで先発したレオン・ゴレツカで、2つの見事なアシストのみならず豊富な運動量でチームに安定をもたらした。後半のフリーのヘディングシュートを決めていれば言うこと無しだったが、もはやドイツに欠かせない存在である事を印象付けるには十分だった。ドイツの中盤の3枚はキミッヒ、クロース、ゴレツカで決まりだろう。

ところでこのゴレツカ、コロナで休んでいる間相当筋トレしたのか、もはやボディービルダーのような屈強な体格となった。あのチャンピオンズリーグのトロフィーを上げた時の二の腕などムキムキで、これまでの普通のサッカー選手のそれではない。ただ、それと同時にゴレツカのプレーにも安定感が増してきた印象だ。恐るべきポテンシャルを秘めていた事は周知だったが、遂に殻を破った感がある。

さて、火曜日にはこの3連戦の本丸であるスペイン戦が控えている。中盤にはクロースが復帰し、おそらくチェコ戦で活躍したノイハウスが先発するのではないか。ネーションズリーグ決勝ラウンド進出を決めると同時に、来年のEUROを占う重要な試合になる。