NL第1節 : ドイツ、後半ロスタイムでの失点でスペインと引き分ける

木曜日にネーションズリーグが開幕し、サッカー代表戦も帰ってきた。ドイツは昨年リーグAのグループで最下位となりリーグBに降格する筈だったのだが、UEFAがリーグAのチーム数を増やした事でドイツはラッキーにもリーグAに残留となり、初戦はホームでスペインと対戦となった。スペインとテスマッチ以外の公式戦で対戦するのは2010年W杯準決勝以来となる。

この時ドイツはスペインの華麗なパスサッカーになす術が無く完敗を喫し、これをきっかけに監督のレーヴは戦術を一気にポゼッションサッカーに舵を切ったという経緯がある。現在のスペインはシャビ、イニエスタ、カシージャスなどを擁した黄金期は過ぎ、当時のメンバーではラモス、ブスケッツを残すのみとなったが、依然として強豪国の一つである事には変わりはない。

一方のドイツはそのスペインを模倣としたポゼッションサッカーとは既に決別し、昨年からはゴール前中央を固めた3バック、更に前線にスピードのある選手を揃えた縦への速さを重視した戦術を採用しており、この日も同様のシステムを採用した。尚、チャンピオンズリーグを制したFCバイエルンの主力は怪我明けのズューレを除いて休養させている。

さて試合であるが、両チームともバカンス明けの最初の試合という事もあってか、かなり緩いペースで試合は進んで行く。まあ普通の仕事でもバカンス明けは普段のペースを取り戻すのにちょっと時間がかかるものだ、止むを得ないだろう。それでも若干であるが、ホームのドイツがクロースを起点にやや優勢に試合を進めている印象である。前半は両チームとも無得点で終了した。

後半が始まるとバカンスぼけも若干とれたのか、テンポがやや上がる。50分、ドイツはギュンドアンが左サイドへ駆け上がったゴーセンスに見事なロングパスを送り、ゴーセンスは完璧なトラップから中央で待ち構えるヴェルナーにパスを送る。ヴェルナーは眼前の相手DFを右へかわし、これをゴール左隅に冷静に流し込んだ。ドイツ代表で久しぶりに見た、ストライカーらしいゴールだ。

これ以降ドイツは前線のスピードを活かしたカウンターで何度か追加点のチャンスを得るが、ラストパスの精度が悪く得点ならず。しかし63分にこの日ドイツの多くの攻撃に絡んでいたサネが負傷し、レーヴはこのサネに代えてDFのギンターを投入する。この明らかに守りを意識した選手交代でドイツのカウンターに鋭さが無くなり、スペインが徐々にドイツ陣内に入ってくる時間が多くなる。ドイツの選手は70分あたりから早くも守備を固めて逃げ切り体勢に入った。

スペインはゴール前にボールこそ入れてくるが、ドイツは中央をガッチリ固めており決定的なチャンスを許さない。後半90分にはFWのヴェルナーに代えてこれまたDFのコッホを投入して、念には念を入れて逃げ切りを図る。しかし、これが逆に裏目に出たのかドイツはロスタイムに入ると急にドタバタし始め、なんと96分に右サイドからのクロスから失点を許した。ドイツは勝てば公式戦ではスペインに1988年以来の勝利になったが、惜しくも持ち越された。

バカンスシーズン明けの試合とあって両チームとも本調子ではない事は明らかであったが、後半ややテンポも上がり、非常に緊迫した試合となった。この時期に観戦できる代表の試合としては質の高い部類に入るだろう。ドイツとしてはロスタイム、それも時間から言ってこの試合最後のアクションで失点を許したので、非常に勿体ない引き分けである事は言うまでも無い。

やはり、サネの負傷退場は予想外だったとは言え、ドイツは余りにも早い時間帯に守りに入りすぎた。63分にギンターではなく、ブラントあたりを投入すれば更にカウンターのチャンスはあったであろうし、ボールキープで相手を疲弊させる事も可能だったかもしれない。ただ、これは次戦のスイス戦も見据えた選手起用であったであろうし、今回はハーヴァーツも離脱し、FCバイエルン勢も欠いており、攻撃陣はやや駒不足でもある。レーヴの采配を一概に批判する事は出来ないだろう。

寧ろ本調子ではないとはいえ、スペイン相手に試合終了間際まで無失点に抑えた事は肯定的に受け止めている。相手が誰であろうが、試合に勝利するために最終的に必要になるのは守備だ。余程力の差がない限り、相手を終始圧倒したり、毎度奇跡の逆点劇で勝利は出来ない。1点差を守り切れる守備力があるかどうかが、来年のEUROでも問われる事になる。昨年はこの点で大きな問題を抱えていたが、進歩がみられた。

もうひとつ、個人的に良かったと思っている点が、久しぶりにヴェルナーが得点した事だ。ヴェルナーは私の中では典型的なカウンター仕様のFWであり、相手をスピードでぶっちぎって得点するタイプだと認識していた。しかし、この試合では相手守備陣を前にして冷静に決めた得点であり、私の知らなかったヴェルナーの新たな引き出しを見せてもらった。なるほど、昨シーズンはブンデスリーガで28得点を上げて飛躍しただけはある。

次戦は本日行われるスイス戦になるが、スペインよりはやや力が劣る事は間違いないので、より攻撃的な布陣で臨む事も考えられる。現状は守備の選手、特にサイドバックは深刻な人材難なので難しいかもしれないが、個人的にはレーヴがかつて自らのアシスタントだったフリックの爪の垢を煎じて飲み、ドイツ代表でもFCバイエルンのようなサッカーを実現して欲しいと思っている。

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