相変わらず好調のドイツ経済は各分野、各業界で過去最高の数値を出しているが、観光業界もその例外ではない。国内外からの宿泊者数は2017年も過去最高を更新し、これで8年連続の記録更新となった。ドイツはメッセをはじめとした大規模な会合もしばしば開催されるので仕事上海外から訪れる人も多いのだが、最近はドイツ人が休暇で国内を旅行する事も増えたらしい。
そういう訳で私も過去に訪れたドイツの都市を少し思い出したので、少しばかり紹介しようと思う。少し記憶が曖昧な部分もあるが、とりあえず最も美しいと思った3都市を上げておくことにする。例によって独断と偏見ではあるが、誰かの参考にはなるかもしれない。
まず私が挙げたいのは、北バイエルン、フランケン地方の小都市バンベルクだ。私はドイツの美しい都市どれか一つを挙げろと言われたなら、このバンベルクを挙げる。バンベルクも他の多くのドイツの都市同様、第二次世界大戦の爆撃被害を受けているが、その中でも最も古い街並みが良く保存された街の一つであり、ユネスコの世界遺産にも登録されている。その歴史的な街並みは周りの自然、レグニッツ川と見事に調和しており、小さな地元の商店街やレストランが並んでいる。
バンベルクは観光地として比較的近くにあるローテンブルクより知名度は低いかもしれないが、私が訪れた当時(約10年前)はローテンブルクほど観光地化しておらず落ち着いた雰囲気があった。何れにせよ訪れてみる価値は高いと思う。最寄りの大都市はニュルンベルクで、そこから約電車で45分程度である。小さな街なので1日で旧市街は回れるだろう。
次に挙げたいのがザクセン州の州都ドレスデンである。この街は私は残念ながら出張の寄り道で僅かにしか滞在していないが、旧市街の荘厳な建築物が非常に印象に残っている。ドレスデンはどの旅行ガイドにも載っているドイツ定番の観光地なので、情報はすぐに集まるだろう。州都だけあって人口も50万人以上で、ドイツでは大都市の部類に入る。しっかりと観光したければ1日では足りないだろう。
ドレスデンはドイツの東の端であり交通アクセスはさほど良くないが、一番近い大都市のライプツィヒからICEで約1時間ほどだ。このライプツィヒを拠点にすればベルリンにも簡単に足を延ばせる。長期滞在してフランケン地方やフランクフルト方面にまで足を延ばしたければエアフルトを拠点にすれば良い。先に挙げたバンベルクにも1時間足らずでたどり着ける。
最後に挙げたいのが、ドイツ南西部、「黒い森」ドイツ語”Schwarzwald”の麓にある大学街フライブルクだ。この街は旅行で行くというより住んでみたい街の一つである。日本では環境先進都市としても有名だろう。なんと言っても気候が温暖で、水や空気が綺麗だったという印象が残っている。街の中心部は車を排除したシンプルな造りになっており、トラムに乗ってストレスなく移動できる。東に広がる黒い森には湖もあり、ハイキングをするにも絶好の地だ。フライブルクまで来たなら是非黒い森にも足を延ばし、その自然を満喫すべきであろう。
フライブルクの最寄りの大都市はカールスルーエで、そこからICEで約1時間で到着する。但しこのカールスルーエ経由がフライブルクへたどり着くほぼ唯一のルートである。一度ミュンヘン方面から南方のボーデン湖、スイス国境あたりを経由してローカル線を乗り継いで行ったことがあるが、非常に時間がかかってしまった。但し黒い森の景観は素晴らしかったと記憶している。
ドイツはフランスやイタリアに比べれば観光地としての人気はやや劣るかもしれないが、もともと多数の領邦国家が連合して出来た国なので、地方によって大きく異なる街並みや文化を見せてくれる。またドイツは殆どの所で英語が問題なく通じる点も旅行者にとってはメリットだろう。
食事は世間で言われている程不味いとは思わないが、脂っこく胃にずっしり来るものが多い。長期滞在したければ自炊用の設備のついたアパートホテル、或いはFerienwohnungと呼ばれるアパートを借りるという選択肢もある。ドイツでの長期滞在の仕方については、また機会があれば触れてみたい。
今後ドイツ国内で行ってみたい所としては、ケルン以南のライン川沿いの街と、ザールラント州である。この辺りはワインの生産地としても有名であり、古城なども多く訪れてみたいと思っている。