ドイツの高速道路であるアウトバーンは知っての通り誰であろうと無料で通行できる。これは車大国であるドイツのシンボル的なイメージもあったと思うが、それも数年後には覆される可能性が高い。つい最近、ドイツの国土交通相はEUとドイツのアウトバーンで通行料を導入する案について合意を得た。これでまだ決定したわけではないとはいえ、実現に向けて大きく前進したと言える。
個人的にはアウトバーンが有料化する事自体にはそこそこ賛成だ。少し前にも書いたと思うが、年々酷くなる特にアウトバーンの渋滞に私はもはや堪忍袋の尾が切れつつあるし、世の中に車が溢れている事自体環境にも悪かったりして本来そんなに好ましくない。
アウトバーンが有料になる事によって僅かでも車の量も減るであろうし、それで得たお金でインフラを整備するなどすれば良い。とりあえず料金も年間で車のエンジンの大きさや、排ガスの量によって年間で最大130€で別にべらぼうに高い訳ではない。周辺の国を見渡せば皆高速道路や国道の料金は多かれ少なかれ徴収しているのだ。
しかし、このドイツで実現される見込みであるアウトバーンの料金制度には少々トリックがあって、我々ドイツのドライバーは実質この料金は払わなくて済むらしい。というのも、アウトバーンの料金を徴収する代わりに、車両税がアウトバーンの料金だけ減らされるからそれで相殺される事になっている。それどころか環境にも良い電気自動車ならば逆に得なる場合もあるらしい。
つまり、アウトバーンの料金は結果的にそれを利用する外国のドライバーからのみ徴収し、国家財政に充てる事になる。私はこれで一転恩恵を被る立場になるが、これはさすがにセコいなと思ったりする。
案の定これに文句を言っているのが当然隣国のオランダやオーストリアだ。これは本来もっともな話で、EU内でこういった不公平は本来認めれられていない。EUもだからこそ何年も前からドイツの導入プランに同意しなかったと言われる。それが急にOKになったのはなぜかは知らないが、私ら庶民の知らない変な政治的な決定なんだろう。
一応ドイツのドライバーもアウトバーンの料金は払うのであり、車両税の減額はまた別の話だと言えば、屁理屈臭いが法的にはOKということなのかもしれない。私はドイツがこのアウトバーンの料金をどうやって外国車両から巻き上げるかまだ詳しく見ていないが、間違いなくドイツは効率よく儲けるシステムを思いつくであろう。私の知る限り、そのような大規模システムを構築するのはドイツの得意技である。