Vignette(ヴィネット)という高速道路料金の徴収システム

日本住んでいると高速道路の料金は各インターチェンジの料金所で払うのが当たり前だ。それに対しヨーロッパのいくつかの国ではVignette(ヴィネット)と呼ばれる通行証を購入することによって高速道路(アウトバーン)及び国道を通行できるようになっている。私の身近でいえばオーストリアだ。オーストリアの場合、ヴィネットは国境付近の休憩所で買えるようになっており、これを車のフロントガラスの所定の位置に貼りつけることになっている。

価格は距離ではなく利用日数によって決められており、現在のところ乗用車の10日分パスで8,9ユーロ、2カ月分で25,9ユーロ、年間パスが86,4ユーロである。ドイツからオーストリアに入るときは検問もないから、逆に言えばこれを買わなくても取り敢えずオーストリアのアウトバーンに入る事はできる。取り締まりはアウトバーン内でカメラが設置してあるか、人員による抜き打ち検査によって行われ、違反が発覚した場合は高額の罰金が(確か120€)取られるようになっている。

このヴィネットのシステムはおそらく日本のような料金所システムに比べて費用が大幅に安くてすむだろうし、導入も簡単であろうと推測される。確かにこれだと一定の確率で違反者が発生し、その全てを取り締まりる事が出来ないから公平さに欠けるが、経済的に効率の良いシステムではないか。一方でこれらの違反者から高い罰金を取ることで金儲けを目的としているという批判もあり、それも私から言わせれば当たっている。

実際に違反者の取り締まりは殆どドイツとオーストリアの国境付近で行われているらしく、摘発される違反者の4割がドイツ人らしい。最も罠に掛かり易いのがミュンヘンからリンダウの東を経由しボーデン湖南のスイス国内に行くルートで、このルートにはほんの10kmにも満たないがオーストリアのアウトバーンを利用する区間がある。私もここで一度ヴィネットを忘れてかなり冷や汗をかいたが、運良く取り締まりがなく助かった。

しかしここは格好のネズミ捕り区間として有名で、ドイツ側から相当苦情が出ているらしい。ヴィネットを忘れる方が悪いと言えばそれまでだが、うっかり忘れたり、期限が切れていたとか、意図せずしてアウトバーンに迷い込んだりなんて事は誰でもあるので、甘く見ると痛い目に合う。沢山のドライバーが摘発されているのはそれなりに理由があるのだ。

そして、数年後アウトバーンを有料にする事がほぼ確実なドイツもこのヴィネットのシステムを利用する。ドイツはこのヴィネットを電子化し、ナンバープレートを識別する事によって取り締まるらしい。これは既に一部の東欧諸国で導入されているが、ドイツは確実にあらゆるデータを基に高い精度を誇る機械を導入して違反者から容赦なく金を巻き上げるであろう。

因みに、万が一うっかりミスで違反を指摘され検査員に摘発されてしまった場合、私の意見であるが、間違っても謝らないことをお勧めする。謝った時点でほぼ確信犯となってしまい極めて心象を悪くしてしまうからだ。ちなみに、違反者の中には「うちの子供がふざけてヴィネットをビリビリに破いた」とか「ウチの犬が食いちぎった」などと言い訳をする者もいるらしい。こんな言い訳をしろとまでは言わないが、言い訳臭くても故意ではないことを説明するのがこちらでは正しい対応であろう。