突如降って湧き出てきたドイツ代表の正GK論争

遡ればドイツは常に世界トップクラスのGKを抱えており、過去のW杯においても世間を賑わすGK論争と言うのが存在した。最近で言えば2006年ドイツW杯のオリバー・カーンとイェンス・レーマンだろう。長年ライバル関係とされたこの二人は常にカーンが正GKに選ばれていたが、この時勝利したのはレーマンであった。

この年ミスを連発したカーンに対してレーマンは所属するアーセナルで安定したパフォーマンスを披露した上に、チャンピオンズリーグでも852分間無失点の記録を樹立し、チームを決勝に導いた。ゴールライン上での驚異的なビッグセーブを持ち味としたカーンに比べ、積極的に前にでるレーマンの方が当時改革期だった新たなドイツ代表のスタイルにもマッチした。レーマンはW杯本番でも安定したパフォーマンスを披露し、その役割を十分に果たした。

一方1994年のW杯ドイツは大会前に突如正GKを変更することで物議を醸した。この大会の正GKはアンドレアス・ケプケで決まったかに見えたが、監督のフォクツは直前にこれをボド・イルクナーに変更した。しかしイルクナーは準々決勝のブルガリア戦でストイチコフのフリーキックに一歩も動けずゴールを許すという致命的なミスを犯し、大会後代表を引退した。

もちろん、どんな優秀なGKでもミスをすることはある。しかし、GKの場合ミスが試合の結果に直結することが他のポジションに比べ格段に多い上に、チーム内の序列が明確なポジションである。一度正GKを決めた以上は大会中にそれを変更する事はないので、正GKの選定は極めて慎重に行われなければならない。いずれにせよ、今大会最も議論の余地のないと思われたGKがここにきて最も議論を要するポジションになってきたのは確かだ。

ノイアーの復帰は来月初めごろと見られているが、そこから6月のW杯に間に合うかはかなり微妙な状況だと言える。オリバー・カーンに言わせれば、試合勘だけでなく度重なる負傷に悩まされているノイアーの足がトップレベルのプレーに耐えられるかどうか、ノイアー自身が確信がもてないのではないかと懸念している。復帰後のノイアーはブンデスリーガ、チャンピオンズリーグで幾つかの試合に出場するだろうが、ここでのパフォーマンスは注目に値する。

一方のテア・シュテーゲンは今日行われるスペインとの親善試合で先発出場が確実視されており、火曜日にはブラジルとの親善試合も控えている。強豪国が相手ということで、ドイツのゴールが脅かされる場面も幾度となく出てくるだろう。まずはここでのパフォーマンスが注目されるところだ。