ロシアW杯まで3ヶ月を切り、今日は見応えのあったスペイン戦に続きブラジルとのテストマッチがベルリンで行われる。チャンピオンズリーグもここからが佳境に入り世界最高峰の戦いを見せてくれるだろう。しかしその一方でブンデスリーガの優勝争いは誰もが完全に白けつつある。今年も例によってFCバイエルンの独走であり、2位シャルケとの勝ち点差は既に17も開いている。
私は一応FCバイエルンのファンではあるが、さすがにここまで毎年独走状態が続くとその興味も失いつつある。とりわけ今シーズンに関して言えばFCバイエルンは前半完全に調子を崩しており、付け入る隙は十分にあった。それがここまでの独走を許すとは、ブンデスリーガのライバルの弱体化は深刻な問題だろう。今年はチャンピオンズリーグでもFCバイエルン以外はドイツ勢はグループリーグで敗退した。
まあ、そのように全く面白くないブンデスリーガであるが、突如として風雲急を告げ世間の喧騒をもたらしているテーマがある。それは、FCバイエルンの次期監督探しだ。今シーズン初めその緩いサッカーで完全に調子を崩したバイエルンは、監督のアンチェロッティを解任し代わりに今年限りという条件で2013年に3冠を達成した72歳の老将ハインケスを再び招聘して調子を取り戻した。
元々今年限りという話だったので、FCバイエルンの時期監督探しは本来世間の注目を集めるには十分なテーマだったのだが、それもここまで何の音沙汰もなかった。それと言うのも、どうやらFCバイエルンは密かにハインケスの続投を目論んでいたらしい。元々ハインケスがバイエルンの再び監督を引き受けたのは会長のウリ・へーネスとハインケスとの友人関係あるからだ。その関係を利用してへーネスはハインケス続投に持ち込めると踏んでいた模様だが、やはりハインケスは先週初めにはっきりと続投はしない意思を明確にした。
そこでFCバイエルンは昨シーズンまでドルトムントの監督を務め現在フリーの身であるトーマス・トゥヘルに突如猛アタックを仕掛けたのだが、これも失敗に終わった模様だ。トゥヘルは既に別のインターナショナルなトップクラブの監督になると約束しているとし、バイエルンは交渉の場に着く事すら出来なかった。
もともとトゥヘルは昨年秋にアンチェロッティを解任した時点で候補には上がっていた。社長のルンメニゲはそのトゥヘルを推していたようだが、会長のヘーネスが首を縦に振らなかった。私的にはそれも理解できる、トゥヘルは戦術家として評価が高い一方で、経営陣や選手と対立してドルトムントを解任された。この印象は当時すこぶる悪く、ヘーネスのワンマンとスター選手が揃うバイエルンにトゥヘルが合うかは誰もが疑問を抱いただろう。
しかし、トゥヘルの評価は現在相対的にかなり上がっているとみられる。それは昨シーズン、トゥヘルを解任したドルトムントが予想外に低迷しているからだ。ドルトムントは結局新監督のボスを解任に追い込まれ、さらにエースのオバメヤンの移籍を許すなど完全に弱体化し、今年は前半で既に優勝争いから脱落した。トゥヘルは欧州のトップクラブから引く手あまたらしく、その新たな行先はアーセナルともパリ・サンジェルマンとも言われている。
一方状況を完全に読み違えたFCバイエルンは今から来シーズンに向けての監督探しを再び始めなければならない。予定では6週間以内に来シーズンの新たな監督を決めるとの事だが、巷では現フランクフルト監督のニコ・コバチが最も現実的な解決策見られている。コバチは監督経験こそ浅いが昨シーズン低迷していたフランクフルトを降格圏内から救い、更に今シーズンはチャンピオンズリーグ出場圏内の4位にチームを押し上げることに成功した。選手としても過去にFCバイエルンに所属していた実績があり、実力者としてファンの記憶にも残っている。十分ありうる解決策に見える。
一方ファンのアンケートではユルゲン・クロップが第一人気であり、次いでヨアヒム・レーヴといったところだ。両者の実績と監督しての能力は疑う余地がないが、現時点ではそれぞれリバプール、ドイツ代表との契約中であり難しいと見られている。この他にもライプツィヒ監督のラルフ・ハーゼンヒュッテルやニース監督のルシアン・ファブレの名前が挙がっている。