ルフトハンザ、関係のないストライキで800便の欠航を強いられる

一昨年パイロット達の度重なるストライキにより、ルフトハンザが連日多くの便を欠航させたことは記憶に新しい。こちらの労使紛争は昨年すったもんだの末に解決され、ストライキも暫くは無くなったと思いきや、明日またもやストライキによるルフトハンザの欠便が発表された。その数はフランクフルト、ミュンヘン、ケルン、ブレーメンで合計およそ800便にも及び、9万人もの利用者に影響がでるという大規模なものだ。

しかし、前回のストライキがパイロット組合とルフトハンザの労使紛争であったのに対し、今回のストライキはVer.di(ヴェルディ)と呼ばれるサービス関連に従事する労働者の組合が主催しており、目的は公共事業に従事する労働者の待遇改善である。そして、これらの労働者の雇用主はルフトハンザではなく、主に地方自治体などの公の機関になる。

私の知る限りドイツの労働組合は日本のように会社ごとに存在するのではなく、主に職種ごとに形成されており、自発的に会員になる仕組みになっている。Ver.diはその中でもIG Metall(イーゲーメタル)と呼ばれる技術系労働者の組合に次いで、ドイツでは2番目に大きい労働組合である。そういう訳で、今回の労使紛争には230万人もの労働者が該当し、働いている業種も非常に多岐にわたる。

つまり、ストライキは空港の職員のみならず、その他の公共交通機関、病院、幼稚園、消防関連、ごみ収集、道の清掃といった多くの公共のサービスも該当しており、幾つかの業種は既に何週間も前からストライキが決行されている。今回Ver.diが要求しているのは、この該当する230万人の労働者に対し6%の給料アップ、およびその為の必要条件として最低月200ユーロの給料アップである。これに対し地方自治体などの雇用者側の連盟はまだ新たな条件を提示していない。こちらも1万もの地方自治体などが該当しており、その財政状況はまちまちなので、すべての雇用者が納得するような条件など簡単には出せないからだ。

そこでVer.diは雇用者側を警告する目的でこのストライキを空港職員や他の公共交通機関にも波及させ、ルフトハンザもそのとばっちりを喰らう事態となった。当然ルフトハンザはこの事態には遺憾の意を込めたメッセージを発している。関係のないストライキで顧客に不利益を被らせているだけでなく、会社のイメージ的にも非常に悪い。ルフトハンザと言えばストライキのイメージが多くの人の頭にはまだ残っている。

ニュースを聞く限り、最新の運行予定はルフトハンザのウェブサイトで確認できるとのことだ。もしも自らの便が欠航になってしまった場合、フランクフルト、ミュンヘン発または経由の便であれば、無料で7日間以内の別の便に変更できる。或いは国内線であれば鉄道のチケットに変更できるとのことだ。私は幸いにもこのような事態に該当したことはまだないが、ドイツでは本当にストライキのリスクは頭に入れておく必要があるだろう。