CL4強:ミスで自滅したFCバイエルン、またもやレアルに敗れる

ちょっと遅くなってしまったが、チャンピオンズリーグ準決勝FCバイエルン対レアル・マドリーの第1戦を観戦したのでその感想を記しておく。この世界のクラブサッカーの巨人同士の対決はここ数年でお馴染みになった感があり、昨年は激闘の末レアルがFCバイエルンを延長の末に下している。しかし、その前の対決も確かレアルがバイエルンを下しており、正確な対戦成績は知らないが、レアルが常に勝利しているイメージがある。

私は基本的に毎年この対戦を見ているが、この両者の対戦を傾向として言えば、あくまでボールを保持し試合を支配する事を目論んでいるバイエルンに対し、レアルは時間帯や状況によって戦い方をフレキシブルに変えてくる。そして、ピンチになっても切らさない集中力、チャンスを確実に決める決定力で常にバイエルンの一歩先を行ってきた。そして、今回の試合はこれまで以上に、バイエルンの支配力の割に目立つ稚拙な試合運び、そして相手のミスを逃さないレアルの試合巧者ぶりが際立った試合だったと言える。

この試合で先制したのは前回の対戦同様ホームのバイエルンだ。前半28分に右サイドを抜け出したキミッヒがクロスを読んでいたGKナバスの逆をつくシュートで先制した。その後バイエルンは完全に試合の主導権を握り、決定的なチャンスを3度も得るがこれを決めることができない。レアル相手にチャンスを潰していると本当に嫌な予感がしてくる。そしてその予感通り、レアルは前半終了間際バイエルンの緩い守備の隙をついてマルセロがミドルシュートを放ち、これがゴール右隅に決まった。レアルはこれで貴重なアウェーゴールを奪い前半は1-1で終了した。

後半バイエルンは左サイドのリベリーのドリブル突破を中心にレアルゴールを度々脅かすが、レアルの好守備に阻まれ得点することができない。そして逆に57分、レアルはアセンシオが中盤でラフィーニャのパスミスをさらい、バスケスとのコンビでカウンター攻撃を決めて2-1と勝ち越した。チャンスを得ながら決めきれないバイエルンに対し、相手のミスに乗じたワンチャンスを完璧な攻撃でものにするレアル。毎度おなじみの展開だ。

バイエルンはその後も相変わらず攻め立てるものの、結局レアルから得点を奪うことはできず、試合はこのまま2-1で終了した。バイエルンは昨年に引き続きホームの第1戦で敗れ、決勝進出の為に非常に厳しい状況に追い込まれた。

この試合、終わってみればバイエルンは例によって高いボール支配率を記録しただけでなく、合計7,8度の決定機を創出し、私の感想から言っても内容では明らかにレアルを上回っていた。この日のレアルは明らかに中盤でコンパクトさに欠けており、非常に出来は悪かったのではないか。チャンスもバイエルンのミスから得点した2度程度だった。しかし、それでもゴール前での鉄壁のディフェンスにバイエルンのミスを容赦なく得点に結びつける決定力、集中力、そして効率の良さはもはや脱帽する以外ない。

そして、何故バイエルンは毎度内容で互角、或いはそれ以上に渡り合いながらレアルに全く勝利すができないのか考える必要がある。一つはやはり個々の選手の質だろう。特にワンチャンスを確実に決めるFWロナウド、鉄壁の守備を誇るDFラモスの両者はバイエルンに毎度煮え湯を飲ませてきた。この試合に関して言えばロナウドに見せ場は無かったものの、ミュラーとレヴァンドフスキを完璧に抑え込んだラモスは例によってバイエルンの前に大きな壁として立ちはだかった。

更に言えば、やはりドイツとスペイン、両国リーグのレベルの差は言及されて然るべきだろう。国内では少々ヌルい試合をしようが簡単に勝ててしまうバイエルンに比べ、レアルは毎年バルセロナ、アトレティコといったライバルと凌ぎを削っている。バイエルンのビッグマッチにおけるナイーブさと、ミスを逃さないレアルの狡猾さは、やはり普段のリーグ戦での戦いから刷り込まれていると思わざるを得ない。もちろん、まだ第2戦が残されており諦めるのはまだ早いが、バイエルンの逆転勝利は数字上だけでなく、そのレアルの勝負強さから言っても非常に厳しいと言わざるを得ないだろう。