ミヒャエル・バラック、崖っぷちのドイツサッカーを救う : 2002年W杯予選プレーオフ、ウクライナ戦

そして17分、ウクライナはゴール正面からのシェフチェンコのフリーキックが壁に当たりゴール前にこぼれたところをズボフが決めて早くも先制する。ドイツのW杯予選敗退が最も近づいた瞬間だった。

しかし、ドイツは得意のフィジカルの強さを活かしながらじわじわと盛り返しセットプレーからチャンスを掴む。前半25分、立て続けに得た2度のコーナーキックからリンケとレーマーのヘディングがポストを叩く。

そして31分、右サイドのフリーキックからゴール前FWのツィックラーがヘディングでスライドしたボールをバラックが左足を伸ばしてゴールに押し込んだ。バラックはそれまで守備に奔走するのみだったが、ここ一番で極めて重要なアウェーゴールを決めた。

[sp-nomi]

[/sp-nomi]

その僅か数分後、ドイツは最も恐れていたエースのシェフチェンコがカーンと1対1になる大ピンチを迎えるが、このシュートはカーンが左足先で驚異的なセーブを見せ切り抜けた。試合の行方を決定づける当時世界最高のストライカーと、世界最高のGKの対決である。

この後、秩序を取り戻したドイツは華麗さ、巧さは微塵も感じさせない得意の肉弾戦を展開し、ウクライナの攻撃を力でねじ伏せることに成功する。最終ラインのリンケ、ノヴォトニー、レーマーが得意のマンマークでウクライナの2トップを封じ込め、中盤の底はハマンを中心に右サイドをラメロウ、左サイドをツィーゲが激しい中盤の競り合いでウクライナを凌駕する。

特に最も警戒すべきシェフチェンコは状況によっては2人がかりで徹底的にマークしほぼ完全に試合から消す事に成功した。更に攻撃的MFバラック、シュナイダーも豊富な運動量で守備に奔走し、特にバラックの守備面における貢献度は極めて大きかったといって良い。

攻撃に関してはまず2トップに決定力よりもフィジカルとスピード、守備力を優先したアサモアとツィックラーを起用した。そして、後半途中からツィックラーに替えてヤンカーを投入、完全な肉弾戦仕様に持って行った。

ドイツの攻撃の形はかなり限定されたが、得意の高いボールを多用することでウクライナに脅威を与え、主に右サイドからシュナイダーのクロス、セットプレーからのチャンスにバラックがフィニッシュに絡む形を徹底した。バラックは中央やや左サイドで攻撃のタクトを握りながら状況に応じてサイドにも飛び出しドイツの攻撃をけん引した。

ドイツは結局このままアウェーの1stレグを1-1の引き分けで終えることに成功し、雌雄を決するホームでの2ndレグでウクライナを無失点に抑えれば勝ち抜けが決まるという、若干ながら有利な条件を獲得することに成功した。そしてその4日後、ホームの大歓声が迎えるドルトムント、ヴェストファーレンスタジアムで2ndレグが行われた。