ウリ・へーネス、FCバイエルンの選手にドイツ語の義務化を主張

先ずは知らない人の為にウリ・へーネスから説明する。つい最近65歳の誕生日迎えた彼は、かつてはドイツ代表にも選ばれた元サッカー選手であり、現在はFCバイエルンの会長である。FCバイエルンをビッグクラブに育てたのはマネージャーとしての彼の力が大きいと言われており、かの「皇帝」フランツ・ベッケンバウアーから言わせれば、「FCバイエルンの歴史上最も重要な男」とまで言われる程その経営手腕は高く評価されている。

今やドイツで他を寄せ付けず最も成功したスポーツクラブの会長だけあって、その発言力は世間一般でもかなり大きい事は想像はつくだろう。但し私の印象から言えば、へーネスは「正論を言うけど一言多い」タイプの人物である。

そのへーネスだがここ最近再び数々の好戦的な発言で世間の注目を集めている。数日前とある新聞社のインタビューで、FCバイエルンの選手にはロッカールームでもドイツ語を義務化すべきであり、出来ない選手には罰金を課すべきだと主張し議論を呼んでいる。

FCバイエルンは言うまでもなく、基本ドイツのチームとは言え多くの外国人選手が存在する。私の見る限りロッベンやレヴァンドフスキはかなりドイツ語は上手い、まあリベリーも上手くはないが話すようになった。アンチェロッティも就任会見は用意されたドイツ語だった。

しかし、へーネスの発言から推測するに、多くの外国人選手はドイツ語を使用しないのだろう。要するにそう言う態度がチーム内で小さな派閥を形成し、それはチームに悪影響あると言うわけだ。へーネスに言わせれば、選手はロッカールーム、つまり試合に関係のない雑談でも共通語としてドイツ語を使うべきだと主張しているわけである。

私はこの主張には一理あると思うが、さすがにここまでドイツ語を強要するのは少々ナンセンスだと思う。サッカー選手ならピッチの上で結果を出す事が本分であり、ましてやロッカールームの雑談で何語を使おうがそれ自体大した問題ではない。また、FCバイエルンの外国人選手は基本的にチームの事情で他国からスカウトされて来たんだろう。

ならばまずチームがその選手たちがドイツ語を覚える事をサポートするべきであり、一方的にロッカールームまでドイツ語を使えと強要し、罰金まで取るのは不憫かつアンフェアだ。ドイツ語はロッベンのようなオランダ人には簡単だが、スペイン、フランス、イタリア、ブラジル人などには難しい言語なのだ。

まあへーネスは一方的にそんな処置は取らずに、チーム内のマネージャーと調整しながら進めていくだろう。しかしこの人、正しい事は言うけど、いつも言い方が攻撃的で極端だから敵を作りやすいだろう。

ただ、ネットでの調査を見る限り、このへーネスの発言に9割以上の人が共感を得ている。おそらく、プロサッカー選手と言えども、ドイツにいるならドイツ語を使えという趣旨には賛同しているのだ。逆に言えば、ドイツ語も使わずに自国の人間だけでゲットーを作り、社会に適応しようとしない外国人が如何に多いかという事である。これは、難民、移民問題で揺れる現在の社会情勢を反映しているとも言えるし、我々外国人はそういう世論は気にしておくべきであろう。