冬のドイツで重要な法律、雪かきの義務について

先週からドイツ全土には強烈な寒波が到来しており、連日雪の降る寒い日が続いている。例によって道路は凍結し滑りやすくなっており、事故も各地で多発している模様だ。この厳しいドイツの冬場を安全に過ごす為に覚えておくべきルールが幾つかあるが、その中でも最も日本人にとって盲点となりやすいと思われる、雪かきの義務をここでは挙げておく。これは非常に重要なのでよく覚えておき、かつ実行すべき大事な法律である。

具体的には、家の所有者は家につながる歩道を平日と土曜日は7-20時、日曜日であれば8-20時の間、少なくとも大人2人が並んで歩行できる位の幅を安全に歩行できる状態にしておかなければならない。所有者が家を誰かに賃貸している場合、賃貸契約書にこの雪かきの義務を記載することによって家を借りている人にこれを転嫁することができる。

しかも雪を除けばそれで終わりではない。やってみればわかるが、雪を完全に取り除く事は不可能であり、道には雪がツルツルになった状態で残る。つまり、そこに砂や小石を蒔くことによって滑らない状態にしなければならない。雪を溶かすための塩は多くの自治体で環境に悪いと言うことで禁止されている。

もちろん、あらゆる諸事情で雪かきが出来ない時、どう考えてもやっても意味がない状況であれば、それは考慮されるらしいが、基本的には義務を課されている本人がいなくても替わりの人を雇ってでも実施しなければならない。そう言うわけで、かなり厳しい。

私は幸運なことに、現在アパート住まいになってからこの義務からは解放されている。アパートの管理人か誰かが行ってくれるみたいで、賃貸契約書にも私にその義務があるとは記載されてない。

しかし、この前の家の時は自分でしなければならず、これはかなり苦痛を伴う作業であった。平日の朝7時までに巨大なスコップで雪かきなど、ほとんど何かの罰ゲームだ。しかし、誰も天気には逆らえないし、雪が降った以上誰かがしなければならない作業である。さすがに役人も各家に通じる歩道までは除雪できないから止むを得ないだろう。まあそれを考えるまでもなく、法律になっている時点で従う以外にない。実際に雪道は歩行者に相当危険である。

もしも、この義務を怠った、あるいは不十分である場合、親切ならば隣の人が指摘してくれるだろう。そうでなくても大家さんが言ってくる。貸主は借りている人に、雪かきの作業自体は転嫁できるがそれを監視する義務があるからだ。役所も気がつけば注意しにくるだろうし、この場合運が悪ければ即罰金の可能性がある。

しかし、言うまでもなくこれで誰かが滑って怪我をしてしまった場合、非常に厄介な事態になるのは想像がつくであろう。賠償責任保険(ドイツ語 : Haftpflichtversicherung)に入っていれば契約内容によって対応してくれる可能性があるが、それでもおそらく相当高くつく。それ以前に相手と自分に多大なる肉体的および精神的苦痛を与えることに変わりない。したがってこの雪かきの義務は甘く見ずに、真面目に実施しておくべき作業であろう。