今日はドイツ国民が初めて体験する歴史的な日になった。W杯グループリーグの最終戦、ドイツは韓国に0-2で敗れ、長いサッカーW杯の歴史で初めてグループリーグで敗退した。まあ、たかがサッカーだ。世の中にはもっと重要な事は山ほどある。とはいえ、私も正直なところ今回は落胆している。或いは若干の怒りも混じっているし、驚いている。
私は今回のドイツは近年でも最高のメンバーを揃えており、今回もベスト4は確実と見ていたからだ。テストマッチが冴えないのはいつもの事だ。本番になればキッチリ、堅実に、大きな失敗はしない。そしてそれはサッカーに限らない。小さなミスはたくさんしても、組織が崩壊するような壊滅的なミスはしない。それが私の知っているドイツだ。それが蓋を開けてみれば絶望的な酷い試合を初戦で見せつけられ、失礼ながら私はまさかW杯本番で韓国にまで負けるとは思わなかった。
今日の韓国戦は仕事中だったので、横目でしか見ていないが、問題点はざっと見た限りメキシコ、スウェーデン戦と同様だ。中盤は圧倒的に支配するが、攻撃は複雑で技巧を凝らしすぎ、決定力不足、カウンターへの惰弱さを改めて曝け出した。改めて考察する必要もない。
それどころか、はっきり言えば私はビデオ判定に委ねられた韓国の得点が認められて寧ろ良かったとさえ思った。私は確かにドイツを応援してはいたが、今回の酷い内容から言えば、仮に審判の誤審に助けられてグループリーグを突破するよりは、むしろ敗退したほうがスッキリすると思ったからだ。メキシコの方がグループリーグを突破するには余程ふさわしいと言える。
ドイツが今回のW杯で惨敗した理由は今後検証されていくだろうが、間違いなく言えることは、原因は個々の選手の不調だけでは無い。3試合とも似たような内容で敗戦、或いは苦戦したいう事を考えれば、基本的な戦術やチーム作り、マネジメントに欠陥があったと言わざるを得ない。つまり、監督であるヨアヒム・レーヴの責任は、単に監督という立場の形式的な意味を超えて、実際に極めて大きいという事だ。
もちろんレーヴは同様のメンバー、戦術で大きな成果をこれまで納めてきたのも事実なので、その全てを否定する事は出来ない。また、DFBのボスであるグリンデルは試合後のインタビューでレーヴを解任する意思は無い事を明確にしている。レーヴの契約は2022年まで延長したばかりで、本人にとっても2020年のEURO制覇は悲願のはずだ。
しかし、間違いなくレーヴの進退問題はテーマになる。過去最高とも言えるメンバーを揃えながら、韓国というアウトサイダーに敗れてW杯に敗退したという事実は、過去のドイツサッカーに例が無いほど苦い記憶となる。ドイツサッカーは優秀な選手が枯渇した00年代初めの低迷期とは全く異なる種の壁にぶち当たった。
おそらく、今後数日で多くの新しい情報が出てくるだろう。それを待って、再びこの件に関する記事を書くかもしれない。取り敢えず今日はドイツ国民、ドイツファンにとっては非常に残念な日となった。しかし、選手、そしてレーヴが目指したサッカー自体の質が低い訳ではないので、しっかりと正しい場所にネジを入れ直せば、長期的に低迷する事はないと思っている。