潰そうとすればするほど躍進するAfD

ARDによる最新のドイツの政治トレンドが発表され、AfDが過去最高の支持率を記録した。その支持率は17%となり、ドイツ2大政党の一つであるSPDの18%に肉薄している。一方与党最大勢力であるCDU/CSU連合は29%となり、記録的な低さとなった。人間の負の感情を利用し、下品かつ明らかに人種差別的な発言で民衆の支持を得る右派ポピュリスト政党が躍進している事は、私から言わせれば実に喜ばしくない事実である。

そして、ここ最近におけるAfDが躍進している最大の理由は、あまりにも現在の連立政権の仕事に国民の不満が溜まっているからだ。現在、実にアンケートを受けた74%の国民がその仕事に不満を持っている。

とりわけ、つい最近まで世の中を騒がせていたゼーホーファーとメルケルの難民問題を巡る対立は国民を著しく白けさせた事は間違いない。難民問題を持ち出しメルケルに反対すれば国民は喜び支持が集まると思いきや、このゼーホーファーの安っぽい策略は完全に裏目に出た。

ゼーホーファー率いるCSUは難民に対する厳しい姿勢という点でAfDと似通っているが、一方でかなりAfDとの差別化を意識している。つまり、外国人に対する差別意識に基づく下品で人種差別的なスローガンで自らの政策を主張するAfDに対し、CSUはあくまでも国の安全と秩序を守る為の政策である事をアピールしている。

そう言う意味ではAfDはCSUにとってまさに目の上のタンコブのような存在であり、地盤とするバイエルンで同じ右派同士での票の奪い合いが予想される。ゼーホーファーが反メルケルに拘ったのは、AfDから再び支持を奪還する目論見があった筈だ。ゼーホーファーは間違いなくAfDを叩き潰したいと思っている。

しかし、結果的にこれで得をしているのはAfDだ。アンケートによると現在、国民が最も重要視しているテーマは難民問題ではない。健康、介護に関してであり、これらの重要なテーマを凍結させて、何週間も下らない茶番で無駄に世間を騒がせた心象は非常に悪い。国民も現在の既存政党による政権の政治能力に疑問を持たざるを得ないだろう。

更につい最近はメスト・エジルのドイツ代表引退騒動で、ドイツにおける人種差別がこれまでになくクローズアップされた。ソーシャルメディア上で「#MeTwo」と呼ばれるハッシュタグが出現し、多くの人がそこでドイツで受けた人種差別の経験を書き込んだ。アンケートによるとドイツ人自身も6割以上の人間が社会における人種差別を問題視している。しかし、これでAfDの支持も落ちると思いきや、そうはなっていない。寧ろ逆である。

というのも、一方で自分に都合の悪い事実は全て人種差別のせいだと声高に訴え、場合によってはドイツ人の事を「ナチス」、「ファシスト」などと罵る外国人、移民も存在するからだ。これは人種差別と同様に大きな問題でもある。そう言う問題を顧みず、一方的にドイツ人による差別を非難した所で問題の解決にはならない。それどころか問題はより大きくなる。AfDは常にこのような状況を利用して支持率を上げてきた。

結局、現状AfDを叩けば叩こうとする程、その支持率は上がるという非常に由々しき状況となっている。ドイツは過去の歴史からかAfDのような主張にに強烈なアレルギー反応を示し、その支持者さえも完全否定し締め出そうとする所があるが、逆にそういった姿勢は益々社会を分断させるだろう。