今年の日本は例年よりも厳しい暑さが続いているが、今年に限ってはドイツでも同様である。先月末にはザクセン・アンハルト州の都市ベルンブルクという都市で39,5℃を記録した。その他の都市も軒並み40℃近くまで気温が上昇しており、ドイツは7月に関して言えば1881年からの観測史上5番目の暑さとなった。
8月はまだ半分も終わっていないので何とも言えないが、ここまでも所によっては40℃近くまで気温が上がる日もあり、かなり暑い夏である事は間違いない。最近は昼間の暑い時間の労働を避けるべく、ドイツでもイタリアやスペインの習慣であるシエスタが話題になりつつある。
また、この暑さ以上に深刻になっているのが長期間続く干ばつである。7月のドイツ全体の降水量は例年の半分程度になっており、農作物の収穫に甚大な悪影響が出ているだけでなく、山火事などの危険性も大幅に増している。
ドイツの各メディアの説明によると、今年の異常な干ばつと高温の原因は北半球の天気に大きな影響を及ぼすジェット気流がかなり蛇行し、勢いが弱まっていることによる。そしてそのジェット気流の異常の原因となっているのが、例によって地球温暖化の影響だそうだ。北極圏での気温上昇により氷が急速なスピードで溶けており、この影響で高緯度地方と低緯度地方の温度差が小さくなるとジェット気流の異変が頻繁に生じる事が既に判明している。
これにより、普段あり得ない異常な高温や大雨、寒波が長期間停滞することになっており、北半球全体の異常気象が生じている。つまり、ドイツだけでなく、今年の日本の異常な暑さや大雨の要因ともなっており、このような異常気象は今後間違いなく増えていくと予想されている。平均気温を見ても、ドイツは1881年以降1,4℃上昇した。私も昨年と今年は夏に日本に一時帰国したが、日本の暑さも昔のものとは全く異なる。
そしてこのまま北極圏の氷が溶けていくと、何万年に渡り閉じ込められていた二酸化炭素やメタンがさらに放出されていく。そして更にそれに伴う気候変動、異常気象でアマゾン熱帯雨林やシベリアのタイガが破壊されると、地球上の二酸化炭素が吸収できなくなるという連鎖反応が起こり、ある時点から修復不可能になると言われている。
そのような深刻な状況であるのだが、現在の世界情勢をみればお先真っ暗と思わざるを得ない。ドイツも環境先進国というイメージとは裏腹に二酸化炭素の削減において近年遅れをとっている。
ドイツは2020年までに1990年時と比較して40%二酸化炭素の削減を目標としているが、この達成はもはや不可能であるといわれている。数字で見る限り最大の要因は発電によるものだ。脱原発により再生可能エネルギーが普及する一方で、安価な褐炭による発電を減らすことが出来ていない。更に交通分野において寧ろ排出量が増えている。
これらは勿論ここ数年の景気の良さや人口増加と関係もあるのだろうが、残念ながら経済的な発展と温暖化対策が現段階では両立できていない印象がある。このままでは近い将来、温暖化対策の為に経済的な利益やこれまでの生活習慣を犠牲にせざるを得ないだろう。最近、緑の党の支持率が上がっているのも、そんな背景があるのかも知れない。