先月末に日本に一時帰国していたが、毎度帰国のたびに厄介なのがネット環境の構築である。国際ローミングなどは高すぎて当然論外だ。空港でスマホやSIMカード、或いはルーターをレンタルする方法もあるが、これも結構な高額になる上に、返却などに手間がかかる。そういう訳で私の場合、プリペイドのデータSIMカードを日本のアマゾンで購入し、目的地である実家に着いた時にSIMを差し替えて日本でも外出時にネットに入れるようにしていた。
しかしこの方法だと、当然空港から実家までの道中でネットに入れない。更に時差ボケの中SIMカードを差し替えて設定するのも極めて苦痛である。何か別の方法が無いかと探していたところ、クラウドSIMという技術を利用したWifiモバイルルーター、グローカルミーを発見した。これはドイツのアマゾンでモバイルルータで検索したら一番上に出てきたものだ。その説明を読む限り非常に好印象を持ったので、早速試しに買い、日本の一時帰国中にそのサービスを利用した。その感想を記しておこうと思う。
グローカルミーの最大の特徴は、先に挙げたように通信にいわゆるクラウドSIMというのを利用することだろう。通信データはアプリを通じて購入するので、従来必要だったSIMカードは必要ない。つまり、グローカルミーの端末を購入し最初の設定、購入さえ済ませておけば、世界100ヵ国以上でSIMカード無しに手持ちのスマホ、タブレット、或いはラップトップなどで自動的にネットに繋がることができる。その快適さに加え、データパッケージの価格は非常に安い。同時に最大5台までのデバイスに接続でき、通信速度も十分すぎるくらい速く、安定していた。稼働時間も十分に長く、スマホの電池が少なくなった時のモバイルバッテリーとしても使う事が出来る。
デメリットとしては、グローカルミーの端末代が138ユーロと比較的高額なこと、最初の設定がやや面倒なことが挙げられる。また、端末は縦横だけならほぼ普通のスマホのサイズだが、結構な厚みがあり比較的重たい。
設定はアプリをダウンロードしてアカウントを作成したのち、そのアカウントを端末と紐付けする作業である。これは私は出発する前に済ませ、テストをしておいた。一度デバイスと接続させれば、あとは自動的に繋がってくれるから楽だ。端末を購入すれば国は関係なしに最初の1GBは無料で利用する事が出来るので、安心して利用を開始できる。
最初の1GBを使い切ってしまたら、自らに合ったデータパッケージをアプリから購入する。私は日本で30日間有効の3GBパッケージを購入したが、これは8ユーロだった。これは日本でプリペイドSIMを買うより断然安い。一方ドイツで有効な同じ内容のパッケージは18ユーロなので日本に比べれば割高になっている。それでも、こちらでプリペイドのデータSIMカードを購入してもおよそ同じくらいの値段はする。その利便性も考慮すれば決して高くはない。
もちろん他にも様々なプランがあり、例えば30日間中央ヨーロッパ7ヵ国で有効な1GBパッケージは8ユーロで利用可能だ。他にも複数国にまたがる周遊用のプランも多くある。トランジットなどでほんの僅かなデータしか利用しない場合、アカウントに金額をチャージした上で従量課金制度、つまり使った分だけ払うというシステムを利用することも可能である。この場合、0,05ユーロ/MBを支払う事になる。また、端末には通常のNanoSimカードを差し込むスロットもあり、クラウドSimから、従来のSimカードを利用したシステムに切り替えることが出来るようにもなっている。
私は今回初めてグローカルミーを利用したので、その特徴を全て体感するまでには至っていないが、時折でも海外に行く人なら持っておいて損はない。何より何処へ行っても煩わしい作業が無く常にオンラインでいられる快適さは絶大だった。唯一私が失敗したのは、滞在先である実家のWifi電波が弱かったので、使っていたタブレットが自動的にグローカルミーの電波を選択している事を知らずに、動画を見てしまった事だ。これで最初の無料の1GBはあっという間に使い切ってしまった。それ以降、外出先から戻ってきた時に端末の電源を切ることにしたが、これは注意した方が良いかもしれない。