ペルーに辛勝のドイツ、決定力不足とカウンターへの脆さを露呈する

昨日は先のネーションズリーグのフランス戦に続き、ドイツ代表はジンスハイムでペルーとのテストマッチに臨んだ。小さな街の日曜日20:45分のキックオフながら、スタジアムには満員の観衆が詰めかけた。

負けない事をまず主眼においたフランス戦とは異なり、このペルー戦は明らかに勝利を意識した戦いが求められる。このペルーは本来なら格下と言いたいところだが、現在のドイツはテストマッチであろうが、まずは相手をリスペクトし全力で戦う姿勢を見せる事が最も重要だ。それはフランス戦と何ら変わる事はない。

まずは先発メンバーであるが、レーヴは前回のフランス戦から先発に5人の選手を入れ替えた。GKにテア・シュテーゲン、左SBに新入りで本職のSBであるシュルツ、右SHにギュンドアン、右WGにブラントを起用し、明確な4-3-3とも言えるシステムとなった。一方で、懸案である1枚のFWにはフランス戦に続き再びロイスを起用した。

試合が開始するとドイツは例によってボールを支配し、開始早々からペースを掴む。素早い縦へのパス回しから中央をコンビで突破しようと試みペルーの守備陣を翻弄する。開始6分にロイスがGKと1対1になったのを皮切りに、次々とチャンスを演出、20分には見事なコンビネーションからロイスが後はボールを押し込むだけという100%のチャンスを得るが、これもシュートがヒットせず左に逸れた。試合を完全に支配しながら例によっての決定力不足だ。ロイスはドイツの殆どのチャンスに絡むが、如何せんこのポジションに慣れてないのか、最後で集中し切れていない感がある。

すると22分、ペルーはドイツのゲーゲンプレッシングをかいくぐると右サイドを突破し、アドヴィンクラがスピードに乗ったドリブルから左SBのシュルツをかわして得点した。シュートは右45度からのニアサイド足元で、ストップできないものではなく、テア・シュテーゲンの印象もちょっと悪い。また、代表初キャップである左サイドのシュルツも積極的に攻撃参加しているが、やや空回りの感は否めない。ペルーの攻撃はほぼドイツの左サイドからだ。守備時のポジショニングも中に絞りすぎている感がある。

しかし、ドイツは直ぐに同点に追いつく。右サイド深い位置のゲーゲンプレッシングでボールを奪うと中央のクロースへ繋ぎ、このクロースのパスからブラントが右サイド角度の無い位置から冷静にキーパーの頭上を抜き得点した。ブラントはここ一年で最も成長した選手だろう。ドリブル一辺倒の選手から周囲とのコンビや得点力を兼ね備えたオールラウンドなウィングへ脱皮しつつある。右サイド2列目のスタメンを奪う日も近いかもしれない。

ドイツはこの後も完全に試合の主導権を握り、何度か決定的なチャンスを迎えるが惜しくも得点ならず、1-1のまま前半は終了した。6割のボール支配率を記録、縦への速いテンポを保ち続け多くのチャンスを生み出したが、決定力不足の感も否めない。

後半になるとドイツはロイスに代えてドラクスラー、ボアテングに代えてリューディガーを投入した。ところが前半とは打って変わって後半は完全なペルーのペースとなる。ドイツは前半同様速いテンポとゲーゲンプレッシングで試合を支配しにかかるが、前半に飛ばしすぎたためかミスを連発するようになる。そしてボールを奪われるとペルーは素早いカウンターでドイツゴールを何度も脅かす。

また、ドイツは守備時も中盤で安易にボール奪取の為に飛び込み、それをかわされて後方のスペースを利用される場面が目に付く。57分にはファルファンがテア・シュテーゲンと1対1になるという決定的なピンチを迎えたが、このシュートは幸運にも上に外れた。ドイツはひとまず試合を落ち着かせる必要がある。前半何度も見事なパスでチャンスを演出したギュンドアンも後半は完全に消えた。

70分を過ぎるとペルーの運動量も落ち、落ち着いた展開になった。ドイツはここで本職のFWであるニルス・ペーターセンを投入し中央へのクロスを織り交ぜて攻める。すると84分、相手のクリアミスからシュルツがミドルシュートを決めて2-1と勝ち越した。このシュートは完全にヒットしなかったが、逆にそれでGKがタイミングを狂わされ脇の下を抜けて行った。結局このラッキーな勝ち越し点が決勝点となり、ドイツが2-1で勝利した。

全体的には速いテンポ、激しい守備でこれまでのテストマッチにはなかった真剣味が感じられる試合だった。攻撃面ではポゼッションサッカーのドグマから脱却し、多少のボールロストのリスクを冒しても縦への速さに拘る姿勢を打ち出し、前半は多くのチャンスも創出する事に成功した。そして、ボールロストの後のゲーゲンプレッシングも前半は概ね機能しており、この点は非常にポジティブだったと言える。

しかし、安全第一で負けないことを主眼においたフランス戦とは異なり、勝ちにいったこの試合ではW杯同様の深刻な決定力不足、そして後半はカウンターへの脆さを再び露呈した。今回結果として勝ったのは運の要素が強い。

やはり90分間昨日の前半のような速いテンポを保つのは非常に難しく、テンポを落としてボールキープしながら慎重に攻める、或いは守備ブロックを固めてカウンターを狙う時間帯も必要だろう。ヨアヒム・レーヴも試合後のインタビューで述べていたが、その辺りのバランスがまだ完全ではない。新しいスタイルで試合を90分間マネジメントする事が今後のチームとしての大きな課題の一つだろう。

個々の選手に目を向ければ、フランス戦に引き続きアンカーの位置に入ったキミッヒの成長が今後ドイツにとって大きな意味を持つようになる。キミッヒは身体こそ小さいが、高い身体能力、守備力をベースにキープ力、パスセンス、キックの精度も高く、間違いなく今後のドイツの大黒柱となる選手だ。経験を積み、バラック、シュヴァインシュタイガーのようなリーダーかつチームの頭脳としての能力に磨きをかけていってほしい。

また、昨日は後半は消えてしまったが、ギュンドアンも今後注目に値する。不動の10番だったエジルが代表を退いた今、ギュンドアンの類まれなパスセンスはドイツのチャンス創出能力に極めて重要になる。調子の波が大きいゴレツカよりも4-3-3の右SHは暫くはギュンドアンで行くべきだ。

他にも昨日はシュルツ、ケーラー、ハーヴァーツの新入りが代表初キャップを飾った。特にFWだけでなくSBはここ数年ドイツの弱点でもあるので、これらの若手の台頭が望まれるところだろう。