もう何年も前から景気が良いと言われているが、数字だけを見れば2016年はこれまででも最高に良かったと言える。2014年は1,6%、2015年は1,7%の成長だった。ドイツの2016年の名目GDPは3,13兆ユーロで、これはユーロ圏21カ国中の29%、EU28カ国中の21%を占めるらしい。EUはドイツ帝国なんて言われるが、この数字だけを見ればなるほどと思える。
そして、とにかくここ数年景気が良いのは外に出ればわかる。前にも書いたかもしれないが、私の感覚では何処に行ってもどうみても人は増えた。12月にミュンヘンのマリエン広場に行ったら前にも増してそこら中観光客だらけだ。難民も増えたんだろうが、金持ちそうな人も増えたし、外国人労働者なんか相当増えた。
その上現在失業率は1991年以来最低を記録しており、誰も猫の手も借りたいくらいなんだろう。車や交通量なんかはもう異常に増えたし、新しい住居もどんどん建てられており、そこら中で建築工事が行われている。
それもそのはずで、ドイツの経済はもともと輸出に依存していたが、去年の景気の良さは輸出ではなく主に個人消費が良くなった事にある。もう何年も前から銀行に金を預けていても利子なんて殆ど付かない状態で、2016年はインフレもそれ程でもなかったから人々の財布の紐も自然と緩くっているとのことだ。また、難民の住居を大量に建設したのもGDPを押し上げた要因だとのこと。但し輸出も2016年はこれまでで最高の金額になる事が確実である。
更に、この景気の良さは当然税収にも良い影響を与えており、国家財政はこれで3年連続で黒字である。現在はその黒字分を何に使うか議論されている最中だ。財務相のショイブレはこれを一先ず政府債務の返済に充てるとしているが、来年以降に税制の改革及び減税を実施するべきと表明しており、もしこれが実現するのであれば我々庶民にとって朗報になる。というより、そろそろこの長期間に渡る好景気の恩恵を国内の就労者や企業に明らかな形で還元するべきだろう。
何れにせよ経済状況に関して言えば、あくまで全体的に見ればの話だが、2016年はドイツにとって殆どケチのつけようのない最高の年だった。ただ今年は不確定要素が満載でどう転ぶかこれまで以上に全くわからない年になるだろう。
全く計算できないアメリカの大統領に、今年はドイツ連邦議会の総選挙もある。株価はなんか知らないが去年の12月ごろからやたらと好調だが、なんか落とし穴がないかと心配になる。昨今の世界情勢見ればこれ以上良くなる事よりも、無難に浮き沈みなく万事進行して欲しいというのが私の希望である。