今シーズン絶不調のトーマス・ミュラー

今期ブンデスリーガでは苦しみながらも何とか首位を保っているFCバイエルンであるが、その内容は後半戦が始まってからも相変わらず芳しくない。その中でも今期絶不調と言って良いのがトーマス・ミュラーである。

ミュラーはもはやFCバイエルンの看板選手、それは即ちドイツを代表する選手として絶対的な地位を確立している。バイエルンの社長をして「ミュラーは非売品だ」とまで言わしめたのだ。それが今シーズンここまでたったの1ゴールと言うこれまでの活躍からは考えられない程の絶不調ぶりである。

過去5年間でミュラーは117分に1ゴールを記録してきたが、今シーズンは実に1010分に1ゴールだ。私が知る限り、ミュラーはいつでもどんな時でポジティブで常にファンの期待に応えてきた。しかし、彼にしては珍しく今シーズンはネガティヴなコメントも散見される。

私はバイエルンの試合を見るのはチャンピオンズリーグの時だけなので何ともまだ完全に確証を持って言えないが、メディアの情報を聞く限りおそらく監督がグァルディオラからアンチェロッティになった事で最も割りを食った選手がミュラーだと思われる。

トーマス・ミュラーの持ち味は組織プレーに於いて最大限に発揮される。素早いパス回しやコンビネーションから、相手の隙を突いて背後の決定的なスペースに走り込むプレーがミュラーの真骨頂である。しかし、データ上でもアンチェロッティになってからバイエルンは明らかにサイドからクロスをあげる攻め方が増えた。1対1に強いリベリーやロッベンのようなクラシックなウィングの選手が今季は活躍しているのがそれを象徴していると思えるが、そのようなサッカーでミュラーが活躍するのは難しいだろう。

と言う訳で、私の中ではアンチェロッティのサッカーにミュラーが合わないのは既成事実になりつつある。代表チームでは相変わらず機能している上に、毎年あれ程コンスタントに活躍してきたミュラーがここまで調子を落とすとは私には殆ど信じがたい。

アンチェロッティは世界でも最も優秀な監督の一人であり、チャンピオンズリーグで優勝する事にかけては右に出るものはいないと言われているし、チームにも確かに優秀な選手も揃っている。しかし、選手個々の能力に依存したサッカーではレアルやバルセロナ、アトレティコには到底及ばない。

私の中ではFCバイエルンはあくまで強力な組織力をベースにしたチームであり、その中で最高の機能性を提供してくれた選手がトーマス・ミュラーだった。私ごときが言うのはまだ早いかもしれないが、バイエルンがミュラーを蚊帳の外におくようなサッカーをするのなら、チャンピオンズリーグで優勝する事は無理であろう。それどころかKOラウンド初戦のFCアーセナルで敗退する確率はかなり高いと踏んでいる。