メルケルを上回る支持を得る新たな首相候補が出現した

ドイツは今年は連邦議会の選挙があり、それに伴い新たな首相を決定することになっている。メルケルは既にヘルムート・コール以来の4選を目指し出馬を表明しており、順当に行けば勝利するであろうと見られていた。しかし、2週間ほど前から強力な対抗馬が現れた。それはマルティン・シュルツと呼ばれる元EU議会の議員であり、2012年からつい最近まで議長を務めていた人物だ。シュルツは2週間ほど前に所属するSPD(社会民主党)からメルケルの対抗馬としてドイツの首相候補に擁立されている。

シュルツを首相候補に擁立して以来、突如としてSPDの支持率はうなぎ登りとなり、現時点で保守政党でメルケルが所属するCDU・CSU連合の支持率を超えている。更に今月初めのアンケートではシュルツがメルケルより首相に相応しいとする割合が圧倒的に上回った。選挙は9月24日だから長丁場の戦いとはいえ、ここ数日ニュースでシュルツの名前を見ない日はないぐらいドイツの政界に旋風を巻き起こしている。確実と見られていたメルケルの4選の雲行きはかなり怪しくなってきた。

日本ではメルケルは難民問題で火の車、首相から陥落するのも時間の問題だと報道されていたそうなので、メルケルがピンチであると言うニュースには不思議ではないかもしれないが、シュルツが所属するのはSPDという中道左派の政党であり、最近流行りのAfDのような右派ポピュリストではない。むしろその主張を聞く限り、メルケルよりも更にリベラルでAfDのような連中とは対極をなす存在だろう。よってシュルツの出現により、AfDの支持率も下がりつつある。因みにシュルツはAfDを「我が連邦共和国の恥」と言って痛烈に批判している。

また、私のような庶民の立場から考えると、シュルツが主張するような富の公正な分配や社会的な格差の是正などは、それ自体は新しいテーマではないとは言え、とりわけ現在のドイツで支持される余地は元々あった。

というのもドイツはその国家としての経済状況の良さの一方で、格差社会が広がりつつあると感じさせる。どう考えても狂っているとしか言いようのない都市部の不動産価格などそれを象徴している。普通の人がとても払えないないような家賃が更に高騰している現状とは、つまりその物件をあっさり買うようなとんでもない金持ちが至る所に存在するという事だろう。給料が上がるペースよりも物価が上がるペースが速い上に、人口は急激に増えて日常のストレスは明らかに増大しており、社会にある不公平感というのは間違いなく結構高い。

このアンフェアな社会の状態を変えてくれそうな期待感を出しているのが、シュルツであろう。欧州議会で議長を務めた政治力、発言力に、欧州各国の政治体制を知り尽くした経験や知識などは、名実共にEUの中心に座るドイツの新たな首相として相応しいと思わせるに値するだろう。私も別に反メルケルではないが、そう言う意味でシュルツにはちょっと期待している。まあ外国人の私は選挙権はないのでどっちみち決まったことを受け入れる以外にないが、個人的にはメルケル帝国もそろそろ終わりに近づき、ドイツも変化を必要としている時期なのかもしれない。

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