ドイツの新大統領は、トランプと対極をなす政治家シュタインマイヤー

昨日はドイツの新大統領が前任のヨアヒム・ガウクの任期満了に伴い実施された。まず、あまり馴染みがないと思うが、ドイツの大統領の権限について簡単に言うと、首相ほどの権力はないが国家元首の地位にあり、形式的には言ってみれば首相を上回る格付けとも言える。具体的には、首相をはじめとした各省の大臣の任免や罷免、他国との条約、法律の施行に当たって最終的にサインしたりするのがその役目らしい。他にも役目があるが、ネットで調べれば日本語でも載っていると思う。

そして、そのドイツの新大統領は、各方面から圧倒的な支持を集めた元外務大臣のフランク・ヴァルター・シュタインマイヤーに決定した。これはもはや予想するのも馬鹿馬鹿しいくらい決まり切った事であったので、昨日の選挙は事実上形式的なセレモニーみたいな感じだった模様だ。新大統領の誕生にちょっとした祝賀ムードがテレビから伝わってきた。

そのシュタインマイヤーであるが、2009年に首相候補としてメルケルに挑み敗れたものの、長年にわたりドイツの外務大臣として活躍し副首相も務めるなど、極めて高い地位で十分な経験を積んだ生粋の政治家である。今回の大統領選にあたり党派を超えた圧倒的な支持を集めた事から見ても、その仕事ぶりの評価はすこぶる高いと言って良いと思う。更に国民からも非常に人気の高い政治家として有名であり、今回の新大統領への就任はまさに既定路線といった感がある。各メディアもシュタインマイヤーの大統領就任に対して非常に好意的に捉えており、新しいドイツの顔として期待の高さが伺える。

さて、このシュタインマイヤーの新大統領就任にあたり、ひとまず注目されるのが他でもないアメリカの大統領、ドナルド・トランプとの関係である。と言うのもシュタインマイヤーはアメリカ大統領選の選挙期間中からトランプを”Hassprediger”を呼び、かなり辛辣にその選挙活動を非難した。”Hassprediger”という言葉は”Hass”=「憎しみ」と”Prediger”=「説教者」という単語を合成した言葉で、憎しみや暴力を扇動するような政治家のことを指す。

更にシュタインマイヤーはトランプの大統領就任でおいて他の政治家が形式的に祝福する中でも、厳しい言葉を並べて歓迎しない旨を明確にしている。ビジネスマン上がりでツィッターを駆使した単純な文句で支持を集めるトランプに対し、経験豊富な政治家で思慮深く堅実かつ理性的なシュタインマイヤーは、その政治的な考え方から言っても、まさにトランプとは対極をなす大統領であると言える。

そう言う訳で、シュタインマイヤーはトランプに対しおべんちゃらでご機嫌を取るような対応は取らないであろう。飽くまで同じ高さの目線で話し、ルールに乗っ取った議論で解決を見つけるはずだ。大統領としてのシュタインマイヤーはウソや誇張したデマが蔓延し、差別や偏見に満ちて不安定になりつつある世界に少しばかりの安定感をを与える存在になることを期待したいと思う。