ケルンの暴行、窃盗事件で欧州の雰囲気は最悪である

ケルンで大晦日の年越し騒ぎのどさくさに紛れて、多数の女性が暴行や窃盗の被害にあった事が波紋を呼んでいる。このような事件は急に出てきた新たな突発的事件のような印象があるが、実際にはこのような犯罪はニュースにならないだけで以前から多かれ少なかれ存在していただろう。

この手の窃盗事件は特にルール地方の都市圏でかなり以前から問題になっており、知り合いも被害にあったと言う話を聞いたことがある。この手の犯罪グループの連中は巧妙なトリックを使い、集団で財布や携帯電話をズボンやカバンの中から窃盗するらしい。ケルンの大晦日の犯罪の多くは間違いなく同様のグループが関与しているだろう。

私は、5,6年ほど前にミュンヘンのマリエン広場で年越しをしようと大晦日に街に繰り出したが、到着数分後には馬鹿騒ぎの群衆と無謀に発射される花火で、やや身の危険も感じた。少なくとも私から言わせれば、ドイツで最も治安が良いと言われるミュンヘンでも若干身の危険を感じるくらいだから、他の大都市の状況は推して知るべしだ。

多分、これまでも被害はあったけれど、あの暗闇と群衆の中で犯人が判らず被害者は泣き寝入りせざるを得なかったと推測する。実際、今回のケルンの事件でも殆どの犯人は特定出来ていない。摘発された犯人は恐らく現行犯逮捕のみだ。

また、今回今のところ摘発された31人の犯人のうち約半数が、同じ地方出身の外国人となっている。そして、これらの連中は難民としてドイツに留まっているケースが殆どなので、今回の事件は必然的に難民政策と結びつけて報道、議論される事態となっている。当然のことながら、難民排斥派はこの事件を待ってましたとばかりに自らの政治的主張を正当化する為に利用している。

これはもちろん、メルケルをはじめとした難民受け入れ派にとっては見過ごす事のできない事態となっているが、この問題自体は全く新しいものではなく、もともと以前から存在していた為、遅かれ早かれメルケル首相は対応せざるを得えなかった筈だ。

何れにせよ、こういったならず者の難民移民の取り締まりは厳しくなると思っていたが、今回ケルンの件でこの問題が顕在化したことにより、政府は急ピッチで犯罪を犯した難民を母国に送還できる法律とシステムを構築し、実行に移すと思われる。また、今回批判されている警察も襟を正して仕事をする必要がある。そしてドイツはこういった取り締まりは無慈悲に徹底して行うだろう。

しかし、今回の事件で、ドイツ国民の難民に対する不信感は極めて大きくなってしまったとは否めない事実だ。確かスロベニアかスロバキアだったか忘れたが、今回のケルンの事件を受けて、イスラム系難民の拒否を表明したという記事を読んだ。イスラムとの関係にまた大きな亀裂が入ったことは間違いなく、その意味で今ヨーロッパの雰囲気は最悪と言って良いだろう。