2012年より続いているルフトハンザ経営陣とパイロット側の労使紛争は揉めに揉めており、度々のストライキで我々利用者に多大なる損害を与えてきた。双方の要求が余りにもかけ離れて粉叫したこの紛争は先月の時点で仲介人を立ててひとまず給与面においてのみ合意がなされた。そして先週、その他の争点においても基本的合意がなされたことで、事実上この問題はほぼ解決したと見られる。
まず給与面に関して言うと、先月の時点では2019年まで8,7%のパイロット側の給与UPに加え、一人当たり5000〜6000ユーロの1回限りのボーナス払いで合意がなされたが、これは新たに2022年まで11,7%のUPと、月給の1,8倍のボーナスに差し替えられた。 給料UPは期間が延びたのでその上昇率は大して変わらないが、月給の1,8倍とは具体的には税込で平均27000ユーロになるらしい。
ただし、この労使紛争でもう一つ大きな争点になっていたのが、ルフトハンザの企業年金である。この争点においてパイロット側はこれを確定給付型から確定拠出型に切り替える事を受け入れた。要するにこれまで常に決まった額の年金を会社が保証していたが、今後は給付額は金利によって左右されパイロット側はこの年金の資産運用を自らの責任ですると言う事なのだろう。また、58歳での定年が60歳に引き伸ばされた。最近の低金利もあり、これだけでも経営側は億単位の金を節約できるらしい。
そして、この条件で持って2022年までに少なくとも現状と同様数のルフトハンザの飛行機をを飛ばし、パイロットの職が保証される事で合意した。更にこれで新たに600の機長職を創出し、約700の新たに教育を受けた若手のパイロットの雇用が創出されるとの事だ。当初ルフトハンザ経営陣は新たにくる40機の飛行機はルフトハンザ以外のブランドで飛ばし、パイロットを干そうという算段だったが、これも撤回した模様だ。
これらはまだ細部を詰める必要があり正式にはまだサインされていないらしいが、基本的な合意として双方から公になっており、余程のことがない限り撤回されることは無いと見られている。パイロット側は給料UPし、少なくとも2022年までその条件が保証される一方で、経営側は15%もの人件費を削減できるらしい。
散々揉めた割にはあっさりと合意に達し、なんで最初からそういう理性的な解決に向けた話し合いが出来なかったのか甚だ疑問だが、我々利用者としてはひとまず喜ばしいニュースであると言っておこう。何より、これでがめついパイロット連中による今後のストライキのリスクは著しく低下した。少なくともストライキといえばルフトハンザのお家芸というイメージがこれで払拭される事を願いたい。
しかしながら、度重なるストライキでルフトハンザは多かれ少なかれの固定客を失った事は間違いない。私もニュースを追いかけているうちになんでルフトハンザが他の航空会社に比べて高いのかよくわかった。ルフトハンザはこのストライキにも関わらず、昨年は記録的な利益を出したそうだが、今後も格安航空会社と厳しい競争が待ち受けているだろう。