国内外から問題視されるドイツの莫大な経常黒字

前回”Made in Germany”のラベルが世界的に人気があり、ドイツの好調な輸出額に寄与しているという事を記した。これは普通に考えれば国にとっては勿論良い事であるが、一方でドイツの輸入額はそれ程増えておらず、そこから発生する莫大な貿易黒字ひいては経常黒字が国内外から問題視されているのも事実である。2016年のドイツの経常黒字は過去最高の約2970億ドルとなっており、これは中国を抜いて世界1位となっている。

そして、そのドイツに現在噛み付いているのが例によって世界最大の経常赤字国であるアメリカの大統領トランプである。そのトランプに言わせれば、ドイツは不当に為替を操作しており、わざとユーロを弱くしてドイツ製品を有利な条件で他国に売りつけて搾取していると主張している。

確かにトランプの言う通り割と長いことユーロはドルに対して安い状態が続いているが、このトランプの発言は悪意に満ちた責任の擦りつけ以外の何物でもないと思われる。そもそもユーロの通貨政策はドイツではなくEUの管理事項であり、トランプの主張とは逆にドイツはユーロ安をもたらすEUの金融緩和政策を以前より非難している。

またドルに対して価値を落としているのはユーロだけではなく、世界的に多くの通貨がこれに当てはまる。ユーロが弱いのではなくドルが強いと言った方が正しく見えるし、しかもトランプが大統領になった直後にはより一層ドルが世界的に強くなった。

しかし、アメリカがこの件でドイツを非難しているのは今に始まった事ではない。以前よりEUやIWFもドイツの大きすぎる経常黒字を非難している。何故ならドイツの莫大な経常黒字はドイツから輸入する他国の莫大な経常赤字を意味しており、この広がる格差が経済危機を招くと言う訳だ。おそらくギリシャ危機など際たる例であろう。こういう事実を踏まえれば、私も自分の税金が同じEU圏のギリシャ救済に利用される事は理不尽ではないと思える。

因みにドイツの経常黒字がGDPに占める割合は8,6%だ。これはEUが義務付けている6%を超えており、このような状況は数年前から恒常化している。ドイツはEUの優等生などと言われるが、これに関して言えば完全な問題児である。

そして、この状況に国内のエコノミストたちも警笛を鳴らしており、その主張は一貫している。問題は輸出が多すぎる事ではなく、輸入が少なすぎる事にある。つまりドイツ国内への投資少なすぎると言う事だ。そして、莫大な経常黒字で稼いだ金はドイツ人が得意の貯金に回され、銀行を通じて外国の怪しくリスクの高い金融商品に流出していると言われている。この状況はドイツの将来的な競争力の維持と世界経済の安定を損ねるとして大いに問題視されている。

もちろんドイツが世界的に強い競争力をもち多くの商品を輸出すること自体は誇れることであろうし、外国の人間がそれに難癖つけて非難するのは殆ど僻み以外の何物でもない。しかし、このドイツの莫大な経常黒字がもたらす世界経済へのリスクは決して無視できないどころか、それを懸念する声は年々大きくなってきている。このテーマに関しては言えばトランプが正しいとさえ言う国内メディアも少なくはない。