CL8強 : 健闘するもレアルの試合巧者ぶりに屈したFCバイエルン

昨日はCL準々決勝のFCバイエルン対レアル・マドリーの2ndレグを観戦した。状況をおさらいしておくと、ホームの1stレグで1-2と敗れたバイエルンは、逆転で勝ち抜けの為にはこの第2戦で2点差以上の勝利か、1点差勝利でも3得点以上が必要という厳しい状況だ。この試合、バイエルンは怪我の為出場が難しいと言われていたフンメルスとボアテングがスタメンに名を連ね、CFのレヴァンドフスキも復帰し、現時点でのベストメンバーでレアルの牙城に挑んだ。

そして試合は現時点でもヨーロッパ最高峰のレベルと言って良い非常に見応えのある試合だった。白熱した試合は90分を終えて1stレグとの合計スコアで同点となり延長戦に突入し、レアルが4-2で勝利した。バイエルンは後一歩のところまで迫ったが、2戦を通じてレアルは我慢をしながらクレバーに戦い、試合巧者ぶりでバイエルンを上回っていたという印象だ。

昨日の試合は序盤レアルの守備はロッベン、ラームが絡むバイエルンの右サイドに人数をかける傾向があり、バイエルンはそこから左サイドへの大きな展開からレアルを押し込んだ。しかし、中央を固めるレアルから決定的なチャンスを得ることは出来ない。

逆に前半も半ばを過ぎるとレアルがバイエルンの攻めを掌握し始めボールを高い位置で奪い返し逆襲に転じた。レアルの中盤は非常にフレキシブルで少ない手数でも多彩な攻めを組み立て、キッチリとフィニッシュまで持ってくる。対するバイエルンの中盤はパスでの展開に固執し過ぎる印象がある。

後半になるとややレアルがペースを落とした事もあってかバイエルンがチャンスを作り始めた。この後半始まってからの20分間がバイエルンがレアルに対し最も優勢にたった時間帯と言える。最終的にバイエルンはこの試合を2-1として90分を終え、第1戦との合計スコアで試合を振り出しに戻し、延長戦に望みをつなぐ事に成功した。このアウェーでレアルと90分戦って勝利したバイエルンの戦いぶりは賞賛に値する。ファンとしてこれ以上要求するものはない。

しかし、バイエルンは1stレグに引き続き退場者を出してしまい、やはりこれが延長戦で大きく響いたと言える。レアルはこの数的優位を容赦無く活かしてバイエルンのゴールにたたみかけた。また、2試合を通じてレアルは試合運びにミスと言うミスがなく、劣勢の時間でもしっかりと中央を固めてバイエルンに数えるほどしか大きなチャンスを与えなかった。そしてロナウドの決定力には脱帽するしかない。

対するバイエルンは1戦目で棚からぼた餅で獲得したPKを外し、無謀でリスキーな試合運びから退場者を出し、更に同様のミスを第2戦でも繰り返した。昨日の試合に関しては不運な判定に泣かされた部分もあるが、それは多かれ少なかれお互い様だ。後半終了間際に退場したビダルは既に後半開始早々に既に2枚目のイエローに値するファウルを犯しており、この時点で退場していてもおかしくなかったし、バイエルンの2点目もミュラーは僅かにオフサイドだった。

残念だが、トータルで見ればやはりレアルが勝ち抜けに値した試合だった。バイエルンは今年を最後にラームとアロンソが引退し、リベリー、ロッベンも30歳を超えており、来年チームの再構築を余儀なくされるだろう。しかし、キミッヒ、ミュラーといった生え抜きの組織プレイヤーがアンチェロッティの元で輝けるのか、気になるところだ。