休暇につきイタリアの南チロルにやってきた。仕事で色々と気になる事もあるが、こうしてちょっと外国に行けば結構な気分転換になる。それに、休暇の度に日本に一時帰国ばかりしていてもこちらに住んでいるメリットもないので、ちょっとお金を貯めて初めてイタリアに行く事にした。日曜日に車で移動したのでまずその過程と印象を記しておく。
私の住むミュンヘン周辺から南チロルの最大の都市であるボルツァーノまでは途中小休憩を入れて約3時間30分で着いた。オーストリアのインスブルック、ブレンナー峠を経由してイタリア国内に入る。
オーストリアの高速道路(アウトバーン)は入国前の休憩所でヴィネットを購入し、車のフロントガラスの所定の位置に貼り付ける事で支払いを証明する。これは10日間有効で8,9ユーロだ。但し、インスブルックからブレンナー峠までは9ユーロ追加料金を払わねばならず、別にこの区間の為だけに料金所が設けてある。
イタリアは日本と同じシステムでブレンナー峠を越えた後で機械からチケットを取り、ボルツァーノで高速から降りた時に料金所でクレジットカードで払った。領収書を出してくれなかったので料金がわからなかったが、確か事前に調べた限り6ユーロちょっとだった。
何の問題もなく目的地に到着する事が出来たが、つくづく思ったのは、とにかくオーストリア、イタリアのアウトバーンの運転は楽だった。これは両国のアウトバーンが基本130Km/hの時速制限を設けているからだ。実際には殆どの区間が110km/h制限だったので、ドイツのアウトバーンに慣れている私にはやや遅く感じられた。
しかし、皆がほぼ同じ速度で走行するので一旦クルーズコントロールをセットすれば殆どアクセルを踏み直す事もなければ、車線変更を強いられるも事なくリラックスして運転できる。確かにイタリアは制限速度を守っていない車は多い印象があるが、それでも馬鹿みたいなスピードは出していないのでそんなに気にならない。更にこれは燃費にも断然良い。ドイツで運転する時とは燃料の減り方に雲泥の差が出る。燃費が良いと言うことは、環境にも良いと言える。
にも関わらず、ドイツはどうしてもアウトバーンの基本的な時速制限は導入したくない、或いはできないらしい。言うまでもなく車製造業界に都合が悪いからだろう。昔、なんかの雑誌でドイツがアウトバーンの時速制限を導入できないのはアメリカで銃規制ができないのと同じようなものだと読んだ事がある。アメリカの銃規制の状況を私はよく知らないので何とも言えない。
しかし、間違いなく言えることは、バカみたいなスピードで突っ走る一部のスピード狂は命に関わる重大な交通事故のリスクを上げている。そしてそんなことが許されるのは世界では一部の国を除いてドイツだけである。
因みに世界でドイツ以外に基本的にアウトバーンの制限速度が無いのはアフガニスタン、ブルンジ、北朝鮮、ソマリア、ネパールといった国だそうだ。これだけ見てもドイツのアウトバーン事情は明らかに特殊で、それは少なくとも私は全然良い事だとは思っていない。休暇に来て自分の住む国の文句を言うのも私の人間レベルの低さを表していると思うが、率直にそう思ったので記しておくことにする。