発音は外国語を学習して行く上で、初学者上級者を問わず極めて重要なテーマと言って良いだろう。特に私は真面目にドイツ語を学び始めたのが20台の中盤だったので、さすがに母国語者のような発音はできず、どうしても日本語のアクセントが入ってしまう。しかし、だからと言って発音がどうでも良い訳ではない。寧ろだからこそ意識せずに良い発音が出来るよう繰り返しトレーニングする必要がある。
その中でも日本人にとってまず最大の難関であろう”R”の発音であるが、これはドイツ語学習者は知っての通り喉彦を鳴らす音で日本語にはない。そういう訳で日本人が特に意識せずRを発音した場合、それはほぼ”L”の音になる。私が初学者の頃 “schreiben”を”schleiben”とか”Reis”を”Leis”とか発音しており当然通じなかったので、これはアメリカから来た日本人の子に指摘された。
それから私は一人でいる時はまずこのRの音が単体で出せるようにひたすら練習した。水なしでガラガラとうがいをする音をイメージしたら良いと思う。そう言う訳で、あくまで通じるという意味では、現在Rのある単語もまず問題ない。
但し幾つかの単語、例えば、”Grill”とか”Roller”のようにRとLが混在している単語は現在でも若干難儀になる。先に挙げた程ではないが、”Radler”=「ビールのレモネード割」なども、ドイツに来た当初レストランで注文したら通じない事が何度かあったので、現在でも意識する単語の一つである。
このような発音しづらい単語を利用する場合、別の発音しやすい単語に置き換えることで解決出来る事もある。GrillならBarbecueとかだ。RadlerならBier mit Limonade (Sprite)とかでも一応通じる。因みにハンブルクではRadlerの事を”Alsterwasser”と呼ぶらしいので、こちらの方が圧倒的に発音しやすい。
これらの類義語を使う、或いは話しにくい表現を別の単語で自分の言葉で置き換えるのは、元の意味と違うからおかしいと言われるかもしれないが、そこでの微妙な意味の違いが大きな誤解にならなければまず問題はない。もしもそういったスキルを身につけたいならば独独辞典を利用する事だ。始めは面倒かもしれないが、慣れれば語彙や表現力が芋づる式に増える。
Rについて話を戻すと、バイエルン或いはその周辺では喉を鳴らすのではなく、舌をブルブルっと震わせる。ドイツ人でこの発音をする人がいれば、この人もしかしてバイエルン出身かなと推測できる。このバイエルン式の方が多分日本人には発音しやすいと思うので、別にこちらでも構わない。私は喉彦を鳴らすのが定着したので、バイエルン式のは逆に発音できなくなった。
因みにこのRの発音が苦手なのは、日本人だけでなく東アジア人共通である。外国語を学習する際には、母国語にない発音は意識してトレーニングする事が必要だ。ネィティブレベルは無理にしても、ある程度近いレベルに達すれば相手の印象も全く違うだろう。