昨日はユーロビジョン・ソング・コンテストが開催された。厳密に言えば、先週の火曜日から既にこのイベントは始まっており、昨日は勝ち残った26カ国による決勝戦だった。ドイツはいきなり決勝戦から参加できるという特権を与えられている。
しかしながら、このコンテストにおけるドイツの最近の低迷ぶりはほぼ常軌を逸しているといって良い。直近の2大会連続で26カ国中最下位なのだ。しかも音楽という極めて嗜好に個人差のある分野で2回連続で26カ国中最下位と言うのは、ヨーロッパはそこまでドイツが嫌いなのか、ドイツ人の嗜好が余りもズレているのか、何れにせよ常識ではほぼあり得ない。
そして、今回のドイツの代表は国内の選抜で選ばれたLevinaと言う、金髪で長身、モデルのような歌手をドイツは送り出した。私的には今回は少なくとも見た目で失敗することは無いだろうと予想された。
しかし、蓋を開けてみるとモデル風のやや変わった髪型に、他の候補者に比べ地味な服装で、見た目の印象は彼女の外見的な素材の良さの割にはっきり言ってイマイチだった。エレガントさを強調したと思われるが、寧ろ逆効果だったのではないか。歌は”perfect life”という、これも私の感想から言えば本当に何の変哲もない凡庸なポップだった。これといった印象に残るパフォーマンスもなく、全体的に言っても全く印象に残らない出来で私的には3年連続の最下位が懸念された。
そして結果は僅か1点の差で26カ国中25位という、ドイツにとってまたもや屈辱的な結果となった。ここまで酷い結果が続くと呪われているようにも思えるし、もちろんこの大舞台で国を代表し精一杯曲を披露したLevinaを非難する事など誰も出来ない。しかし、私から言わせれば妥当な順位だった。なにせ良くも悪くも、全く印象に残らなかった。
優勝したのはポルトガルの代表であるSalvador Sobralで、曲は”Amar Pelos Dois” というジャズ風のバラードである。ユーロビジョンで勝つには英語でテンポの速い曲が一般的には有利と言われるが、この傾向が今回は打ち破られた。視聴者投票でも審査投票共に1位を獲得した文句無しの勝利である。このような感性豊かで芸術性の高い曲が大衆にも評価された事は価値があるだろう。逆に、大衆受けする事を狙い完全に個性が埋没してしまったのがドイツと言える。
因みに私のイチオシはモルドバ、オランダ、スウェーデンだった。特にスウェーデンのユーロビジョンにおける安定感は特筆すべきと言えるだろう。なにせ、誰が出てきても毎回スタイリッシュでスマートだ。ヨーデルを歌ったルーマニアもインパクトがあった。このルーマニアの強烈な印象の直後に歌った事も、Levinaにとってはやや不運だったと言えるとかもしれない。