ドイツ語を英語よりも簡単にしてくれている豊富な合成語について

ドイツ語の学習を始めるとおそらく誰もが必ず考えるテーマが、英語とドイツ語はどちらが難しいかと言う事である。一般的に言えば、初級者にとってはドイツ語の方が難しいと感じることが多いだろう。それは主に複雑な文法に因るところが大きいのではないか。しかし、私は今となってはドイツ語の方が楽ではないかと思う点もあり、その一つがドイツ語における豊富な合成語である。例えば、以下のような単語は英語では独立した単語だが、ドイツ語は2つの単語が組み合わさってできている。()に英語と日本語を記した。

Hand + Schuh = Handschuh (glove 手袋)
Schrauben + Schlüssel = Schraubenschlüssel (wrench レンチ)
Zahn + Rad = Zahnrad (gear 歯車)
Arbeit + geber = Arbeitgeber (employer 雇用者)
Stand + Ort = Standort (location 立地)
kühl + Schrank = Kühlschrank (fridge 冷蔵庫)
Spiel + Zeug = Spielzeug (toy 玩具)

Leben + Mittel = Lebensmittel (food 食料)
fahren + Rad = Fahrrad (bicycle 自転車)
gleich + mässig = gleichmässig (evenly 均等に)
nach + haltig = nachhaltig (sustainable 持続可能な)
durch + Schnitt = Durchschnitt (average 平均)
Taschen + Rechner = Taschenrechner (calculator 計算機)
Regen + Schirm = Regenschirm (umbrella 傘)

ここに挙げたのは比較的簡単な単語とは言え、英語だと独立した単語を新たに暗記し使う時に頭から引き出す必要があるが、ドイツ語の場合2つの単語を組み合わせる事によって連想できる意味の単語を造っている。ドイツ語には一般的にこういった合成語が非常に多いと言われおり、この為ドイツ語の単語はどれも結構長くなる。

これは最初は確かに難しく感じるかも知れない。しかし、慣れてくると仮に初めての単語に遭遇しても多くがこの様な合成語だったりするので、基本単語の意味さえ把握しておけばそれが何を意味しているか何となく想像できる事が多いし、結果覚えるのも容易だと私は感じている。

こう言う様々な基本語を引っ付けて合成語を造るドイツ語の性質は漢字同士を組み合わせて熟語を造る日本語と似ている部分があるのではないか。但し、ドイツ語の方が合成語のパターンが豊富で、想像力でいろんな言葉を造る事ができる。幾つかの単語を比較的簡単に引っ付けて表現できるのはかなり便利だ。

合成語の作り方のルールに関しては私は残念ながら理論的に把握していないので、他人に教える事ができない。これは私の場合、多分に自分の語感や響きに基づいて造る。例えば、魚の骨をKnochen von FischではなくFischknochenだったり、或いは象の鼻をNase von Elefantenではなく、Elefantennaseと言ってもそんなに差し支えないだろう。こう言う感覚は普段からドイツ語に触れていないと難しいかも知れない。そう言う意味でも、個人差はあると思うが、基本的に語学は量をこなす事が非常に大事だと個人的には考えている。

因みに、ドイツ語を簡単にしてくれているものに分離動詞もあげておく。この分離動詞も初級者の頃は非常に難しいと感じたが、今となっては非常に便利だなと思う事が多い。