先週ドナルド・トランプのパリ協定脱退宣言を受けて、世界がその愚かさに絶望的になっているのは皆が知っての通りである。地球温暖化についてはその信憑性に疑問があることや、経済などへの影響と結びつけて複雑に説明される場合もあるが、私の中ではまず単純に「地球及び人類の存亡に関わる問題」である。
そしてそのトランプの決定に対してメルケルは 「控えめに言ってもかなり遺憾」とした上で、「我々を躊躇させるものは何もない、我々はパリ協定の義務を果たす」と、断固とした決意を新たにした。当然だ。アメリカがゴネたからと言って世界196カ国が参加するパリ協定を捻じ曲げる必要など全くない。それこそ人類存亡の危機が近づくだろう。
しかし、そのドイツが順調にCO2を削減できているかと言うと、残念ながら全くそうではない。ドイツがパリ協定を遵守する為には2050年まで年間平均2億2千万トンのCO2を排出して構わないそうだ。しかし、今年はこの数値を既に4月の初めに超えており、お話にならないと言えるレベルだろう。他国の状況は知らないが、おそらく大して変わらない。だからアメリカもサジを投げたりするんだろう。
そして特に問題となっているのは、やっぱりというか車による排出である。これはドイツ人の車の運転を見ればそれだけで納得がいく。CO2の排出などどこ吹く風と言わんばかりの猛スピード運転は間違いなく環境に悪い。更にアウトバーンは無料かつ時速無制限というルールはそれを助長している。数年後にはアウトバーンが有料になる事は決定的だが、これはこう言った状況を踏まえての措置であるとも思われる。
更に、去年の秋頃には2030年迄にドイツはディーゼルとガソリン車を禁止にして電気自動車のみにするなどと言う話があった。本当にそのつもりかどうか知らないが、正直に言えば、それで糞高い電気自動車を無理やり買わされるのは御免だ。そんな事を強いられれば、自分の生活が破綻してしまう。ガソリンやディーゼルと少なくとも同程度の価格と維持費や利便性がなければ電気自動車を買う事はできない。現時点でそれが2030年迄に実現可能だと思っている人間は極めて少数派だろう。
しかし、パリ協定を本気で遵守し地球温暖化のペースを弱めるには、我々庶民にグサッと来るような過激な処置が無いと厳しそうだ。少なくとも、ドイツの車社会は大幅な転換が必要であろう。私があとどれ程ドイツに住むのか知らないが、いちドライバーとしてこの状況は踏まえておいた方が良いと考えいる。地球温暖化は避けては通れない問題であり、ドイツは必要とあらば断固として厳しい処置も実行し、我々庶民もそれを受け入れなければならないだろう。