明日ロシアでサッカーのコンフェデ杯が開催される。このミニW杯と呼ばれる大会には、各大陸優勝国と開催国のロシア、前回のW杯優勝国のドイツが参加し、来年行われるW杯のリハーサル的な位置づけとなる。ドイツが前回に参加したのは2006年の自国開催の時だ。この時はなかなか盛り上がった。ドイツはこの時は3位になり、3位決定戦の延長戦でバラックが決めたフリーキックはよく覚えている。
さて、今回のドイツ代表であるが、主力選手は招集を見送られた。休養が必要なのも勿論だが、ドイツ代表は10年以上も同じ監督で、ここ数年はメンバーも固定されている。リーグ戦やCLで疲れ切っている中、プレ大会に出場する意義は少ないだろう。
また、ファンの目線から見ても、正直いってドイツ代表の試合はマンネリ化しつつある。相手が強豪国ならともかく、ドイツに一泡吹かせそうな面白い試合をしてくれそうな国も今や少ない。監督の戦術や選手の組み合わせももはや定着しており、贅沢なことだが、フレッシュさに欠けてしまう。
その点から言って、今回のドイツ代表はなかなか面白いメンバーが集まった。大まかに言うと、代表の常連だけど絶対的なレギュラーが保証されていない選手、今後のドイツを背負って立つと思われる期待の若手、そして、現在の代表チームの弱点となるポジションをカバーしてくれる選手で構成されている。
キャプテンはパリSGのユリアン・ドラクスラーに決定している。ドラクスラーは23歳ながら今回のチームでは最もキャップ数が多い。しかし、これまでの代表戦を見る限り、ドラクスラーはその才能に見合った活躍を見せて来たとは言い難い。更に、チームの中心として期待されながら成果を挙げることなくVFLヴォルフスブルクを去り、パリSGに移籍したその経緯は世間のドラクスラーに対する評価を著しく落としている。
ヴォルフスブルクで中心となれなかった選手が、どうやってキャプテンとして代表チームを優勝に導けるのか。今回のコンフェデ杯はドラクスラーにとって自らのリーダーとしての価値を証明する為の厳しいテストになるに違いない。そして、もしもドラクスラーがチームを優勝に導ければ、その才能が一気に開花する期待がある。レーヴはそれを見越して敢えてドラクスラーをキャプテンに指名したのではないか。
他にも、28歳と最年長ながら、ようやく代表に招集されたボルシアMGのシュティンドルや、今年ホッフェンハイムで活躍したCBのズューレ、バラックを彷彿とさせるシャルケのゴレツカなどは私も期待している。特にシュティンドルはCLで何度か見たが、レーヴのサッカーに合いそうな良い選手と言う印象そ持っている。マリオ・ゲッツェが病気の為復帰の目処が立たない今、今大会の結果次第ではW杯本番でのシュティンドルのFW起用は十分にあり得るのではないか。
強いて言うならば、今回久々にマルコ・ロイスが参加しないのは残念だったと言っておこう。しかし、全体的には楽しみなメンバーで見所も多そうだ。最大の敵はチリとポルトガルだろう。ロナウドやビダル、サンチェスを擁する両チームに今回のドイツ代表がどこまで通用するか、そして例によってヨアヒム・レーヴがどんな戦術やメンバーで試合に臨むのか、非常に楽しみな大会だ。