今日と土曜日に渡り、ドイツ北部の大都市ハンブルクでG20サミットが開催されている。ハンブルクは人口で言えばドイツの第2の都市だ。ドイツ北部の経済の中心地であり、最大の港町である。貿易立国であるドイツの玄関口と言って良い都市であり、多くの物品がこの街から流通する。
そう言うわけで数日前から市内は厳戒態勢のため交通は麻痺状態になっているようで、ドイツ全土の流通に影響がでている。しかし、問題はそれだけに留まらない。G20に反対するデモ隊により、予想通り一部の過激な連中と警察隊の間で大規模な衝突が起こった。
G20サミットは毎年開催されている会合であり、それ自体は全く特別なものでは無いかもしれないが、昨今の世界情勢を考えれば普通のサミットではない。その理由の一つはエルドアン、プーチン、トランプという癖の強い大国のリーダーが揃い踏みする稀な機会であるからだろう。彼らがこれまでに行ってきた事を考えれば、それが争いの種になるのは容易に想像がつく。難民、自由貿易、富の格差、シリア問題、地球温暖化、アメリカとロシアの疑惑、エルドアンvs欧州、その他テーマを挙げればきりが無い。
昨日は既に多数のG20に反対するデモンストレーションが催されたそうだが、その中でも最も危険かつ大規模だったのが”Welcome to Hell”と呼ばれる暴力的な左翼が主催するデモだ。もうこのデモの名前からして唯暴れたいだけの集団である事は明白だろう。
更にその変な風貌とインタビューを聞けば、この連中が如何に危険か直ぐに察しがつく。ドイツはネオナチと言われる極右ばかりが問題視されるが、極左も当然存在し、残念ながらこのような暴力的な連中は何処にでも存在する。その数は総勢3500人だった。
そしてこの暴力的な連中は皆黒ずくめの服で、警察隊との大規模な衝突となった。映像をみればハンブルク市内は燃え盛る車が至るところで確認できる。車のようなステータスシンボルや資本主義の象徴のような物は片っ端から破壊の対象になったと思われる。更に高級住宅地の窓ガラスが破壊される様子を映像で見た。
警察は当然こう言うデモをエスカレートさせる事なく平和的に解決する事が望まれた訳だが、結局放水銃などの強硬手段で対抗せざるを得なかったようだ。更にこの暴力的な連中は平和的なデモ隊と混じっており、更に小さなグループに分かれて徘徊していた模様で、警察も全ての暴力的デモをまとめて鎮圧する事は困難だったらしい。
このような非常事態は当然予想されていた事とは言え、予想以上に対応が困難である事が浮き彫りとなった。多くの怪我人も出ている模様で、ハンブルクは明日も引き続き非常事態と予想される。