ドイツは北朝鮮情勢をどのように見ているのか

日本では連日北朝鮮情勢で緊迫した情報が報道されているが、これはドイツでも連日注目されている。むしろ報道は日本以上に多いとさえ思えるくらいだ。ドイツは遠く離れており、もちろん直接的な影響は日本に比べれば皆無だし、仮にグアムにミサイルが発射されたとしても条約上NATOが出てくる必要はないとの事だ。

とはいえ北朝鮮とアメリカの両指導者は知っての通り全く計算できない上に、これ程までに両者の挑発がエスカレートしたならば、戦争という最悪の解決方法を誰もが考えざるを得ないだろう。

とりあえず、ドイツと北朝鮮の関係を調べて見たところ、北朝鮮は東ドイツが存続していた頃は同じ東側のブロックとして重要なパートナーであり、ドイツ統一後も2001年に国交が樹立し、平壌にはドイツ大使館が存在する。さらに数年前までは実際に北朝鮮でビジネスを展開するドイツの会社も幾つか存在したた模様だ。これは労働力や資源などが安く手に入るメリットがあるからだ。北朝鮮はドイツとって完全に閉ざされた国ではない。

しかし、現在ではその数も随分減っており、交流も少なくなった模様だ。当然、度重なる核実験や人権を無視していると言われる政治などはドイツでも非難されているが、遠く離れている事もあり、北朝鮮が取り上げられることはこれまで多くは無かったと言える

因みに、北朝鮮はドイツをアメリカの衛星国だと非難した事がある。これは”The Interview”という北朝鮮を揶揄するアメリカのコメディ映画がベルリン国際映画祭で上映されたからだ。私はこの映画を見た事はないが、将軍様を侮辱する内容であり北朝鮮の怒りを買った。

ドイツでこの北朝鮮情勢が一気に注目されるようになったのは、例のトランプの「炎と怒り」の報復発言によるものだ。それまでは北朝鮮が吠えているだけで誰も何も起こらないと思っていたが、この発言で一気に緊迫感がドイツでも増した模様だ。

トランプに対してはリベラル系の政治家やメディアを中心に非難が殺到しており、首相のメルケルも金曜日にバカンスから帰ってくるや否や、軍事的な解決策を完全否定した上で、過激な発言による挑発は解決には繋がらないと断言した。戦争になった際アメリカを支援する事も名言を避けている。トランプがどこまで本気であのような過激な発言をしているのか私には知る由もないが、これ以上のエスカレートは誰も望んでいない。

また、外相のガブリエルはトランプの過激な発言の直後に、第一次世界大戦の状況と比較、更に核戦争の恐れに言及し事態のエスカレートに警笛を鳴らしている。第一次世界大戦の発端はサラエボでオーストリア・ハンガリー帝国の皇太子が殺害された事であり、その後みるみるうちに世界を巻き込む大戦に発展していったと習った。

おそらく、当時も誰もこの局地的な事件を世界大戦に発展させる意図など無かっただろう。現在も相手が相手だけに極めて厳しい状況であるが、今こそこういった歴史の教訓を踏まえて外交的に問題を解決する努力が望まれる。ガブリエルがこのように世界大戦を引き合いに出してきたことは、多くの国家間の問題を戦争という馬鹿げた方法でしか解決できなかった歴史をもつヨーロッパの反省と教訓から来ることは間違いない。