8月に破産申請をしたドイツ第二の航空会社エア・ベルリンであるが、飛行機は依然として飛んでいる。近い将来ルフトハンザに買収して貰うという筋書きの下、前例のないドイツ政府の救済によって運行を続けている。これによりひとまず破産申請後の便のチケットが無効になるという事態は避けられたが、そうは問屋がおろさない。逆にドイツの空の便はこのゾンビ化したエア・ベルリンにより混乱をきたしている。
まず先週であるが、エア・ベルリンのパイロットが一斉に病気になるという不可解な現象により多くの便が突如としてキャンセルされるという事態になった。これは明らかにストライキと同様の目的で示し合わせた行動である事は間違いない。
本来ならばれっきとしたストライキをすれば良いのだが、その条件を満たす事が出来ない為に集団でこのような卑劣な仮病を使って出勤を拒否した訳だ。そういう訳でエア・ベルリンのフェイスブックのページを見れば怒り狂う利用者のコメントを読む事ができる。このような馬鹿げた行為のために飛行機に乗れず取り残された利用者にはお気の毒と言うしかない。
私にはこのパイロット連中がどんな戦略や意図をもってこのような行為に出たのか理解に苦しむが、ルフトハンザをはじめとした新たな雇用主にってこんな連中は新たな社員として受け入れ難いであろう。しかし、エア・ベルリン経営側もこの仮病騒動で必要以上の便をキャンセルし、パイロットに責任をなすりつけたとして非難を浴びている。本来、こんな変な雰囲気の会社を誰が買収したいと思うだろうか。
それでももしも予定通りエア・ベルリンの大部分がルフトハンザに買収された場合、一部の国内路線はルフトハンザのモノポール状態になり、チケットの価格上昇が確実視されているが、一部では既に価格上昇が始まっているという噂もある。
特にビジネスでの利用客はあまりにも信用できないエア・ベルリンを避けるので、当然ルフトハンザでのブッキングが増えるからだろう。どうせ景気も良いので価格が上昇しても世間は文句を言いながらもそれを受け入れて需要が落ちることはないから、価格が下がる事はない。
因みに、インタビューで世界最大の格安航空会社であるライアンエアーの幹部が、「エア・ベルリンはゾンビ」と喩えていた。その通りエア・ベルリンは死に体で生きて世のなかを混乱に落とし入れており、なるほどと思ったのでタイトルに使わせてもらった。
しかし、そのライアンエアーも来週から突如2000本以上もの便をキャンセルすると発表し、世間に物議を醸している。最近の航空便は全く信用できない上に、国内は益々ルフトハンザの独占状態が強化され、チケット価格は益々上昇するだろう。