昨日はサッカーの国際親善試合が世界各地で行われ、強豪国同士の興味深い対戦が目白押しだった。私はドイツ対イングランドの試合をテレビ観戦し、スコアレスドローながらまあまあ面白い試合だった。しかし、昨日のメインはW杯出場をかけたプレーオフの初戦イタリア対スウェーデンの対決だ。私はこの試合をネットで横目で同時観戦した。
イタリアとスウェーデン、この両強豪国のうち一方がW杯に出れないのは非常に惜しいとは言え、多くの人が最終的にはイタリアが勝ち抜けると踏んでいた筈だ。イタリアの居ないW杯など、にわかには想像もつかない。
しかし、この世界が注目したプレイオフ第1戦は既に知っての通り、ホームのスウェーデンが1-0で先勝し、ドイツと同じ通算4度のW杯優勝を誇るイタリアはまさに予選敗退の大ピンチに陥った。そして、この件でコメントしたヨアヒム・レーヴのニヤけた顔つきが全てを物語っているように、おそらく多くのドイツ人がこの状況にほくそ笑んでいるだろう。あくまでサッカーに関して言えば、ドイツにとってイタリアの不幸は蜜の味である。
というのもドイツはイタリアに過去W杯やユーロで常に痛い目に遭わされてきた。前回のユーロでドイツはイタリアに主要大会で初勝利をしたが、圧倒的に有利と言われた戦前の予想を覆され、まんまとどつぼにハメられてPK戦まで持ち込まれている。
また私の知る限り、ドイツ人にとって時には度が過ぎて狡猾なイタリアのプレースタイルは極めて好感度が低い。この辺りは同じライバルでもフェアプレイを重視するイングランドなどとは対照的である。イタリアがW杯に出られないのは”Apokalypse” =「 アポカリプス」、つまり世界の破滅と同義だと言っているが、ドイツ人はこのイタリアの大ピンチを密かに喜んでいるだろう。
そして、そのイタリアであるが、まだホームでの2戦目を残しているとは言え、昨日私が横目で観戦した印象を言うならば、状況はかなり厳しいと言わざるを得ない。というのも、昨日スウェーデンに先制された後のイタリアの攻めはあまりにも単調かつ工夫のないもので絶望的にさせられたからだ。次戦はホームとは言え、イタリアは基本的に2点差以上で勝利する必要がある。
間違いなく守備から入ってくるであろうスウェーデンから得点するのは、昨日の試合を見る限り殆どラッキーパンチに期待する以外にない。元々イタリアは自ら仕掛けて試合を決めることを苦手としており、これが伝統的に強豪国に強い反面、格下に取りこぼす事が多い要因とも思える。
そして、もしもイタリアが敗退しW杯に出てこない場合、ドイツの連覇の可能性は高まる事は間違いない。最大の天敵がいなくなるのだ。一部の選手を除けば、イタリアは私にとっても決して好感度の高いチームではない。しかし一方で、さすがにイタリアのいないW杯は余りにも寂しく味気ない。悪役を欠いたドラマを観ているような感覚かもしれない。
イタリアはどんなに弱いと言われようが、W杯には欠かせない役者であり、ありとあらゆる狡猾な手を使い優勝候補を苦しめるだろう。多分サッカーでイタリアを応援するのは人生で初めてかもしれないが、月曜日の第2戦は是非その逆転劇に期待したいと思う。