既に知っての通り、長年ルフトハンザに続くドイツ第二の航空会社として君臨してきたエア・ベルリンが今年の10月中頃をもって完全に消滅した。そしてその大部分はドイツ政府の意向もあり、ルフトハンザに吸収されると言われている。
しかし、このルフトハンザがエア・ベルリンの運行を引き継ぐには未だEUからの許可が下りておらず、現在チケットの需要が供給を大幅に上回る状態になっており、ルフトハンザによると毎日およそ6万席不足しているらしい。しかも国内路線のルフトハンザの独占状態もあり、価格がかなり高くなっている模様だ。
私も最近出張のため飛行機をブッキングする機会があったが、確かに相当高くなっていた。全体的には路線にもよるが概ね20-40%値上がりしているらしく、特に該当している路線としては、元々エア・ベルリンが拠点として利用していたベルリン、デュッセルドルフ発着の路線だ。
因みにミュンヘン〜デュッセルドルフ間に至っては最大300%も上昇している。例によって一番高いのはいつもミュンヘン絡みだ。これによりルフトハンザは毎月10億ユーロの追加利益があると見られ、もはやボロ儲け状態である事は容易に想像できる。
更にルフトハンザはベルリン〜フランクフルト間では今月末まで普通国際線で利用するジャンボジェット機(ボーイング747)を必要に応じて運行しているらしい。このような大型機を国内線に利用するのはコストがかかり過ぎるため全く得にはならないそうだが、ルフトハンザのCEOであるシュポーアもこの状況でルフトハンザのイメージが悪化するは避けたいと述べており、それは強ち嘘では無いと思う。しかしこれも当然既存客を鉄道やアウトバーンの利用に逃がしてしまわない為の措置だろう。
当然このような状況は社会において問題視され、新たに発足する新政権でも議題になっているようだが、現状ではどうする事も出来ないのが実情のようだ。近いうちにEUがルフトハンザのエア・ベルリン吸収を正式に認めると言われているが、そうなればルフトハンザは便数を増やすことが可能でひとまずこの供給不足は改善されると見られる。しかし、それでもモノポリー状態が改善されなければ、価格は元のレベルには戻らないだろう。現在国内路線のルフトハンザのシェアは98%だそうだ。
ルフトハンザ同様エア・ベルリンを買収するイージージェットの参入が認められれば、状況がやや改善されるかもしれないが、これもいつ、どの路線になるのか未だ不明であり、暫くは国内路線におけるルフトハンザの独占状態は続くと見られる。ドイツ国内で飛行機をブッキングしようと思うなら、この現状はよく考慮した方が良いだろう。
何れにせよこの爆発的な景気の良さも考えれば、長期的に見てもチケット価格が元のレベルに戻るのは期待するだけ無駄だと思った方が良いかもしれない。