8割に満たない定時運行率で、未だ悪評を払拭する事が出来ないドイツ鉄道

現在のドイツはアウトバーンはいつも渋滞で、飛行機はルフトハンザの独占シェアで馬鹿みたいな金を払わされる。そこで期待されるのが当然鉄道である。このブログでも何度か紹介した通り、ドイツ鉄道はその遅延率の高さから元々すこぶる評判が悪かった。しかし、ドイツ鉄道側もその事は勿論知っており、それなりに努力していたのか今年の前半は遅延率が改善していたらしい。私も今年の3月に久しぶりにICEに乗って快適に移動する事ができたので、その評価を若干ポジティブに改めようかと思っていた。

しかし、今年の5月あたりから再び遅延率が上がりはじめ、再び例のドイツ鉄道に戻ってしまったそうだ。そこでドイツ鉄道は意地でもこの悪評を払拭すべく今年の10月から定刻運行率を上げるキャンペーンに打って出た。

何をしたかと言えば、運転手がただ単に列車のスピードを上げるという極めて原始的な力技である。その分環境への負荷や、燃費効率が悪くなってでも時間通りに列車が到着することに拘った。それで10月は列車が定刻よりも早く到着するということもあったらしい。

しかし、それでもこのキャンペーンに打って出た10月の遠距離列車の定時運行率はたったの74,3%という燦々たる結果に終わった。そしてこの結果を受けて、ドイツ鉄道の社長は今年の定時運行率の目標は達成できないと白旗をあげた。確かにドイツ鉄道が主張するように、10月は嵐が来るなど天候状況は悪かったとは言え、5月から定時運行率は既に8割以下なので言い訳としては苦しい。まあ嘘でも何かしら理由を言うのが私の中ではドイツ的な礼儀だ。

だがそもそもドイツ鉄道が2017年に目標としている定時運行率はたったの81%であり、それも6分以上遅れなければ遅延に該当しない。列車が遅延する事が極めて希な社会に住んでいる日本人からすれば、何とレベルの低いことかと感じるだろう。

それでも、ドイツ鉄道は長期的な定時運行率がせめて85%になるように今後も努力するとの事だ。どのようにして達成するつもりなのかは知らないが、少なくとも単に列車のスピードを上げるだけでは無理な事は明白だ。これに関しては本当にドイツ鉄道は日本のJRの爪の垢でも煎じて飲めば良い。

このように悪評を払拭出来ないドイツ鉄道であるが、乗客数は増える一方のようだ。今年は乗客数の最高記録の更新は確実で、来年は更なる増加が見込まれれている。景気が異常に良い上に、エア・ベルリンの消滅で鉄道に流れる客も多いと言う事だろう。また、12月からはベルリン〜ミュンヘン間の新路線が開業し、片道最速で4時間という大幅な時間短縮が実現する。更にミュンヘン〜ハンブルク間も最新型のICEの運行が開始される。かなり利用価値は上がって来ているだけに、定時運行率の改善が強く望まれる。