2017年のドイツを象徴する言葉は”Jamaika-Aus”

今年も例によって”das Wort des Jahres”=今年のドイツを象徴する言葉が発表された。日本の流行語大賞のようなものに当たる。今年は”Jamaika-Aus”に決定した。

まず”Jamaika”というのは読んで字のごとくジャマイカであるが、ここで意味しているのは国ではなく、政治におけるCDU/CSU連合とGrüne、FDPの3党による連立政権の意味である。ドイツの政党はそれぞれを象徴する色で表現される事も多く、この場合CDU/CSUは黒、Grüneは緑、FDPは黄色となり、この3色がジャマイカの国旗と同じなので、この3党による連立政権はジャマイカ連立と呼ばれる。

“Aus”はここでは俗に言う日本語の「アウト」と感覚的には似た意味であり、何かが失敗に終わる、あるいはスポーツのトーナメントなどで敗退すると言う意味である。

つまり、”Jamaika-Aus”とは、ついこの間ニュースになった上記の3党による連立政権交渉の失敗を意味している。それだけこの交渉の失敗、つまりFDPのクリスティアン・リンドナーによる交渉打ち切り宣言は世間に驚きを持って受け止められ、そのインパクトが大きかった事を物語っているだろう。

これによりドイツは歴史的にも過去にない政治的難局に陥っており、メルケルの絶対的な権力にも陰りが見え始めて来た事を窺わせる。しかし、この混乱をもたらしたカリスマ政治家であるリンドナーの好感度も著しく落ちた。

因みに、ジャマイカ連立が頓挫した今、メルケルは再びCSU/CDUとSPDの2第政党による大連立の道を模索している。この大連立は一般にGroße Koalitionと呼ばれるが、略して”GroKo”とも呼ばれ、2013年のWort des Jahresに選ばれた。

今回はSPDは選挙直後に政権入りはしないと宣言していたが、この難局に際して前期に引き続く大連立の交渉のテーブルに着く模様だ。しかし、ここに来て政権入りの為に簡単にCDU/CSUに妥協するとは思えず、こちらもかなり難しい交渉になるのは間違いない。CDU/CSUのみの過半数割れの政権になるか、再選挙という事態も現実的に十分にあり得るだろう。