ドイツ鉄道がJRグループよりも優っていると思う点

ドイツ鉄道が運行するICEは遅延が日常茶飯事で、鳴り物入りで開通したミュンヘン〜ベルリンの新路線も最初から遅延や欠便の連発で世間の失笑を買っている。利用者を馬鹿にするのにも程があるが、当事者にとっては決して笑い話では済まないだろう。JRが運行する新幹線とは月とスッポンくらい差があるのはもはや言うまでも無い。

日本の鉄道は世界で最も信頼出来ると言われており、私もこの点においてドイツ鉄道はJRの爪の垢を煎じて飲めば良いと書いた。しかし考えてみれば、こんなどうしようも無く低レベルなドイツ鉄道でもJRグループに優っていると思う点もある。

まずは全てのICE内で無線LANが無料で利用できる事だ。これは私も一度試したがすこぶる良い印象を持った。例によって速度が遅いとか、セキュリティが不安とか粗探しをする人間がいるが、嫌なら使わなければ良い。少なくとも、地域限定かつどこかの携帯電話と契約していないと使えないような新幹線の無線LANサービスよりはよほど親切ではないか。

もう一つは、オンラインでのICE、新幹線のチケットブッキングシステムである。これも一言で言えばICEはシンプルで、新幹線は複雑すぎて頭が痛くなる。

ドイツ鉄道のICEの場合、ホームページに行けば即出発地と目的地などを入力し、特に頭を使う事なくチケットを購入できる。会員にならずともチケットは直ぐにメールで送られ、国内であればどの路線、機材でもルールは全て同じだ。

しかし新幹線の場合、ブッキングしようとすると現在は3種の異なる予約方法が表示される。e5489, スマートex, ex予約とある。各々に異なったルールがあり、これを理解するだけで相当面倒くさい。更に何れもチケットを購入する為に会員登録が必要であり、クレジットカードが必要である。更に適用区間、チケットの種類、受け取り場所などで余りにも多くの細かい条件が作ってある。理解するのも一苦労で、サービスのメリットよりもそこで疲れるデメリットの方が大きい。

これはそもそも、ドイツ鉄道が国営企業であり一社でICEを運行しているのに対し、日本の場合、一言でJRと言っても地方によってJR西日本、JR東日本、JR東海などという風に別々の会社が新幹線を運行しているのが大きいだろう。地域によってそれぞれの会社が独自のサービスを提供している為なのか、 私から言わせれば著しく公共性を欠いた、複雑で不親切なオンラインブッキングのシステムになっている。大いに改善の余地があるのでなないか。

ドイツ鉄道のレベルが低いのは国営企業で守られているのもあるが、それはそれで意味がある。何でもかんでも競争させればサービスが良くなると言う訳ではないと言う事だろう。これで私の中でドイツ鉄道の評価が上がるわけではないが、どんな物でもメリットとデメリットがあり、それはあのドイツ鉄道でさえ例外ではないという事だ。