実に惜しまれるペップ・グアルディオラの退任

土曜日はドイツカップの決勝戦、バイエルン対ドルトムントの試合が行われた。試合は予想通りボールを保持し、試合をコントロールしようとするバイエルンに対して、まず守備を固めてからカウンターを狙うドルトムントという構図である。両チームとも決勝戦にふさわしい激しい攻防を見せた試合は、両チーム無得点のままPK戦にもつれ込み、辛くもバイエルンが勝利を収めた。

そして、全体的に見ればバイエルンが見せたサッカーは現時点での欧州最強チーム一つと呼ぶにふさわしい素晴らしい内容のものであり、スコアこそ0-0ながらドルトムントより一枚上手であったと言える。そういう意味で、私は内容通りバイエルンが勝利したことに安堵している。また、この試合は今期限りで退任するペップ・グアルディオラのバイエルンでの最後の試合となった。

現代で最高の監督の一人であるという呼び声も高いグアルディオラがFCバイエルンの監督に着任したのは3年前のことだが、この3年間の彼の仕事については結果からいえば成功したとは言い難い。ブンデスリーガの3連覇は当然のこととして、チャンピオンズリーグにおいて3年連続でベスト4の殻を破れなかったことは、当初の期待値からすればやや物足りないと言える。私としても、この3年間に一度はチャンピオンズリーグのタイトルを取ってほしかったというのが本音だ。

しかしながら、土曜日の試合などを見ると、グアルディオラは殆ど信じられない程のレベルの高いチームを作ったものだと驚嘆せずにはいられない。バイエルンの選手は何れもボール扱いに長けており、殆どボールを失わないどころか、信じられないようなスピードで長短のパスを回し、その上ドリブル勝負にミドルシュートなどを織り交ぜて相手選手を翻弄し疲弊させて、相手に攻め手を殆ど与えない。就任した当初は、ボールこそ保持するものの、ただボールを回すだけでカウンターの餌食になることも時折見受けられたが、この3年間で着実にそのサッカーは完成形に近づいたと言えるだろう。

来期のバイエルンはドルトムントからマッツ・フンメルスを獲得し、グアルディオラの理想を体現できるまさに強さと巧さを兼ね備えた最強のメンバーが揃う。故に私としてはここでの彼の退任は非常に惜しまれると言っておきたい。

また、異国の地で尋常でない重圧のなかこれ程の仕事をし続けることは、私ら凡人には想像もつかないような苦労であったに違いない。当初は問題視された言葉の壁も、非常に努力してドイツ語を上達させたのがよく分かる。彼のように素晴らしい名声がありながら、変に誤魔化し、格好つけたりするのではなく、逃げずに真摯に自分の課題に取り組む姿は誰もが見習うべきものだろう。グアルディオラの次なる挑戦はプレミアリーグのマンチェスター・シティだそうだが、ファンとして彼の成功を心から祈っている。