明日は大晦日、2017年も終わりに近づいている。振り返れば今年のドイツも色々な事があった。総選挙でAfDが躍進し、FDPリンドナーの反乱でジャマイカ連立が頓挫した。トランプやエルドアン、プーチンらがその存在感を示し、ハンブルクでのG20サミットもあった。VWスキャンダルの余波はまだ続き、ディーゼル車は大都市から排除されつつある。エア・ベルリンの倒産もあった。
そんな訳で今年の起きた事を数えればキリがないが、個人的に私が一番印象に残っている事、というより現象であるが、それはここ数年の好景気を更に上回る記録的な景気の良さである。この好景気に関してはこれまでも再三記事にしたが、リーマン以降途切れる事なく好景気が続くだけでも驚きなのに、今年更にその勢いが大きく増した事は驚異的とも言って良い。
もともと輸出に依存しているドイツの経済状況が良いのは、単にユーロ安で運が良いからだと言う論調もあったが、今やドイツの経済は輸出だけでなく内需も良くなって来ている。現にユーロはもはや安くはない。それでも相変わらず景気は衰えるどころか、来年も更に勢いが増し経済成長率は2,6%に達するとまで言われている。
そして近年のドイツの経済的成功は紛れもなく国民の努力と勤勉さ、そして賢さに依るものだと私は確信を持って言える。とりわけ、金を稼ぐ為に効率の良いシステムを作る事にかけてはドイツ人は天才的ではないか。
更に、ドイツ人は決してやり過ぎない。儲からないと思えば躊躇なく捨てる。完璧ではないが、常に安定して合格点を出せるもの、サービスを作り続ける事ができる。そして、そこから長期的に大きな利益を出す為に金だけでなく、時間、労力、ストレスを極限まで削減する。これはどんなに時間やストレスがかかってもひたすら細部まで完璧を求める日本人からすれば、時にいい加減で適当に映る。しかし、私から言わせればドイツ人ほど損得にシビアな人間はいない。
話が横道に逸れたが、ドイツ経済は素晴らしい成果を挙げているのは紛れもない事実であり、私もこれは非常にポジティブに受け止めている。景気が記録的に良くなった事は必ずしも我々庶民にとって良いことばかりではないが、こうしてドイツが少しでも注目されるようになるのであればそれは個人的にも嬉しい事だと言っておく。
しかしながら、景気に関して言えば、来年は落ち込むよりも過熱する事が圧倒的に懸念されている。この景気の過熱が如何に危険かはドイツも過去の歴史から既に身を持って知っており、その為には本来早めに行政が介入して景気の過熱を抑えるべきだと言う声が大きい。
しかし、ユーロ圏で見ると依然として経済状況が良くない国も存在し、欧州中央銀行は金利を上げる事も出来ない。また、ドイツ自体も未だに連立政権が構築できていない不安定な状況にあり、この先どう転ぶか不透明な状況が続いている。いずれにせよ、景気が青天井に登った後にいきなりドボンみたいな事態だけは避けなければならない。その為にも来年は一刻も早く国民が納得する形で安定した政権が樹立する事が肝要だろう。